顧問弁護士の活用事例|業種別・場面別の相談内容と解決例

  • 2026/2/6

顧問弁護士を検討しているものの、「実際に何を相談できるのか分からない」「自社の業種でどう活用すればいいのかイメージできない」とお悩みの経営者の方は多いのではないでしょうか。顧問弁護士は契約書のリーガルチェック(法的チェック)から労務トラブル、債権回収まで幅広い相談に対応しています。本記事では、顧問弁護士によくある10の相談内容、製造業やIT業界など業種別の活用事例、さらには顧問弁護士を活用しきれない失敗例まで、経営者の方が具体的にイメージできるよう詳しく解説します。

顧問弁護士への相談内容|よくある10の相談

顧問弁護士には、日常の経営活動で発生するさまざまな法的課題を相談できます。ここでは、中小企業の経営者から特に多い10の相談内容をご紹介します。

契約書のリーガルチェック

取引先から提示された契約書や、自社で作成した契約書が法的に問題ないかを確認する相談です。契約書には専門的な法律用語や複雑な条項が含まれることが多く、内容を正確に理解しないまま締結してしまうと、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。

たとえば、「損害賠償の上限条項がない」「解約条件が一方的に不利」「知的財産権の帰属が曖昧」といった問題点を、顧問弁護士であれば事前に指摘し、修正案を提案することができます。契約書のチェックは顧問弁護士の最も基本的かつ重要な業務の一つです。

契約書のリーガルチェックについて詳しくは「契約書の作成・リーガルチェック」をご覧ください。

取引先とのトラブル対応

取引先との間で発生した紛争や交渉についての相談です。代金の未払い、納品物の瑕疵、契約条件の解釈の相違など、ビジネスを行っていれば取引先とのトラブルは避けられません。

顧問弁護士がいれば、トラブルの初期段階から法的なアドバイスを受けることができます。感情的になりがちな交渉も、法的根拠に基づいた冷静な対応が可能になり、訴訟に発展する前に解決できるケースも多くあります。

債権回収

売掛金の回収が滞っている場合の対応策についての相談です。取引先の資金繰り悪化や、悪意ある支払い引き延ばしなど、債権回収の問題は中小企業にとって深刻な経営課題となります。

顧問弁護士名義で内容証明郵便を送付することで、相手方に心理的プレッシャーを与え、任意の支払いを促すことができます。それでも支払いがない場合は、支払督促や訴訟などの法的手続きへスムーズに移行することも可能です。債権回収は時間との勝負であり、早期に弁護士へ相談することが回収率を高めるポイントです。

問題社員への対応

勤務態度の悪い従業員、ハラスメント行為を行う従業員、能力不足の従業員など、いわゆる「問題社員」への対応についての相談です。日本の労働法では労働者保護が手厚いため、安易な解雇は無効となるリスクがあります。

顧問弁護士に相談すれば、注意指導の記録の取り方、配置転換の可否、退職勧奨(自主退職を促すこと)の進め方、解雇が有効となる要件など、法的リスクを最小限に抑えた対応策を検討できます。

問題社員への対応について詳しくは「問題社員への対応方法」をご覧ください。

労働トラブル(残業代、解雇など)

従業員から残業代の請求を受けた、解雇した元従業員から不当解雇だと訴えられた、といった労働トラブルへの対応です。近年、労働者の権利意識の高まりやインターネットでの情報収集の容易化により、労働トラブルは増加傾向にあります。

顧問弁護士がいれば、従業員側の主張の法的根拠を分析し、会社として取るべき対応を迅速に判断できます。また、日頃から就業規則や労務管理体制を整備しておくことで、トラブルの発生自体を予防することも可能です。

残業代請求への対応について詳しくは「残業代請求への企業側の対応」をご覧ください。

クレーム・カスハラ対応

顧客からの理不尽なクレームや、カスタマーハラスメント(カスハラ)への対応についての相談です。近年、悪質なクレーマーやカスハラが社会問題化しており、従業員のメンタルヘルスを守る観点からも適切な対応が求められています。

顧問弁護士がいれば、対応担当者へのアドバイスはもちろん、必要に応じて弁護士が直接対応することも可能です。弁護士が介入することで、相手方の過剰な要求を法的根拠に基づいて毅然と拒否でき、不当な要求に応じてしまうリスクを回避できます。

就業規則の作成・見直し

就業規則の新規作成や、法改正に対応した見直しについての相談です。就業規則は会社のルールブックであり、労務トラブルが発生した際の判断基準となる重要な文書です。

労働関連法規は頻繁に改正されるため、数年前に作成した就業規則がそのまま使えるとは限りません。顧問弁護士に定期的にチェックしてもらうことで、法改正への対応漏れを防ぎ、トラブル発生時にも会社を守れる就業規則を維持できます。

就業規則の整備について詳しくは「就業規則の作成・見直し」をご覧ください。

新規事業の法的リスク確認

新規事業の立ち上げや新サービスの開始にあたって、法的リスクがないかを事前に確認する相談です。業法規制、許認可の要否、個人情報保護法への対応など、新規事業には様々な法的論点が存在します。

事業開始後に法令違反が発覚すると、事業の停止や行政処分を受けるリスクがあります。顧問弁護士に事前相談することで、法的リスクを洗い出し、適法なビジネスモデルを構築することができます。

知的財産権の相談

商標登録、著作権侵害、特許出願など、知的財産権に関する相談です。自社の商品名やロゴが他社の商標権を侵害していないか、自社のコンテンツが無断で使用されていないかなど、知的財産に関するトラブルは企業の信用に直結します。

顧問弁護士がいれば、商標調査や著作権侵害への対応策について迅速にアドバイスを受けることができます。必要に応じて弁理士と連携し、権利化の手続きを進めることも可能です。

M&A・事業承継

会社の売却・買収や、後継者への事業承継についての相談です。M&Aや事業承継は経営者にとって一生に一度あるかないかの重大な決断であり、法務・税務・労務など多面的な検討が必要です。

顧問弁護士は、デューデリジェンス(買収監査)への対応、契約書の作成・レビュー、従業員への説明方法など、M&A・事業承継の各段階で法的サポートを提供します。税理士や社会保険労務士と連携できる体制があれば、よりスムーズに手続きを進めることができます。

業種別の活用事例

顧問弁護士の活用方法は業種によって異なります。ここでは、中小企業の経営者から特にご相談の多い業種について、具体的な活用事例をご紹介します。

製造業|取引基本契約書の整備で紛争予防

製造業では、原材料の仕入先や製品の納入先との間で取引基本契約書を締結することが一般的です。しかし、長年の取引関係がある場合、契約書なしで取引を続けていたり、何十年も前の契約書をそのまま使用していたりするケースも少なくありません。

よくある相談事例

ある製造業の会社では、取引先から提示された取引基本契約書の内容をそのまま受け入れて契約を締結していました。ところが、納入した製品に不良が発生した際、契約書に「製造物責任を全面的に負う」という条項があったため、想定以上の損害賠償を求められる事態となりました。

顧問弁護士がいれば、契約締結前に「製造物責任の範囲を合理的に限定する条項」「損害賠償額の上限条項」などを提案し、リスクを軽減することができたはずです。

活用のポイント

製造業の経営者の方には、取引基本契約書の見直しを定期的に行うことをおすすめします。特に、品質保証条項、知的財産権の帰属、損害賠償の範囲など、トラブル発生時に影響が大きい条項については、顧問弁護士にチェックしてもらうことでリスクを大幅に軽減できます。

IT業界|SaaS契約・業務委託契約の整備

IT業界では、SaaS(Software as a Service)の利用規約や、開発業務の委託契約など、IT特有の契約書が多く存在します。また、著作権や特許権などの知的財産権に関する問題も頻繁に発生します。

よくある相談事例

あるIT企業では、フリーランスのエンジニアに開発業務を委託していましたが、契約書で著作権の帰属を明確にしていませんでした。その結果、開発したシステムの著作権がフリーランス側に帰属するかどうかで争いとなり、サービスの継続に支障をきたす事態となりました。

顧問弁護士に相談していれば、業務委託契約書に「成果物の著作権は委託者に帰属する」旨の条項を入れることで、このようなトラブルを未然に防ぐことができました。

活用のポイント

IT業界では、契約書の雛形をそのまま使うのではなく、自社のビジネスモデルに合わせてカスタマイズすることが重要です。また、情報セキュリティやデータ保護に関する法規制も年々厳しくなっているため、顧問弁護士を通じて最新の法改正情報を把握しておくことも大切です。

小売・サービス業|クレーム対応・カスハラ対策

小売業やサービス業では、日々多くの顧客と接するため、クレームやカスタマーハラスメント(カスハラ)への対応が重要な経営課題となります。

よくある相談事例

ある飲食店では、料理に異物が混入したとして顧客から高額な慰謝料を要求されました。店舗スタッフだけでは対応しきれず、店長が何度も謝罪に訪れるうちに要求額がエスカレート。最終的には弁護士に依頼せざるを得なくなり、スポット契約(個別案件ごとに依頼する方法)で高額の弁護士費用が発生しました。

顧問弁護士がいれば、初期段階から法的根拠に基づいた対応が可能です。正当な賠償額の範囲を提示し、過剰な要求には毅然と対応することで、問題の長期化を防ぐことができます。

活用のポイント

クレームが発生したら、早期に顧問弁護士へ相談することが重要です。また、クレーム対応マニュアルや、カスハラ対応方針を事前に整備しておくことで、現場スタッフの負担を軽減し、統一的な対応が可能になります。

建設業|下請法対応・契約トラブル予防

建設業では、元請・下請の関係が複雑に絡み合い、工事代金の支払い遅延や追加工事費用の負担など、トラブルが発生しやすい業種です。また、下請法(下請代金支払遅延等防止法)への対応も重要な課題です。

よくある相談事例

ある建設会社では、元請会社から追加工事を口頭で依頼され、完了後に請求したところ「そんな依頼はしていない」と支払いを拒否されました。追加工事の発注書や合意書がなかったため、請求を諦めざるを得ませんでした。

顧問弁護士に日頃から相談していれば、「追加工事は必ず書面で合意を取る」「工事内容と金額を明記した発注書を取得する」といった基本的なルールを徹底でき、このようなトラブルを防ぐことができたでしょう。

活用のポイント

建設業では、工事請負契約書の整備はもちろん、工事中の変更や追加についても書面で記録を残す習慣が重要です。顧問弁護士に契約書の雛形を作成してもらい、現場でも使いやすい運用ルールを整備することをおすすめします。

医療・介護業界|労務管理・コンプライアンス対応

医療・介護業界では、人手不足による長時間労働、夜勤シフトの管理、患者・利用者からのクレーム対応など、労務管理やコンプライアンスに関する課題が山積しています。

よくある相談事例

あるクリニックでは、退職した看護師から過去2年分の未払い残業代を請求されました。変形労働時間制を導入していたものの、就業規則への記載が不十分であったため、残業代の計算方法が認められず、想定以上の支払いを余儀なくされました。

顧問弁護士がいれば、変形労働時間制の適切な導入方法や、就業規則への正確な記載について事前にアドバイスを受けることができ、このようなリスクを回避できたはずです。

活用のポイント

医療・介護業界は労働法規が複雑に絡み合うため、就業規則や労務管理体制について定期的に顧問弁護士のチェックを受けることをおすすめします。また、患者・利用者からのクレーム対応についても、対応方針を事前に整備しておくことが重要です。

弁護士法人エースでは、グループ内に社会保険労務士法人を有しており、法務と労務の両面から一体的なサポートが可能です。医療・介護業界特有の労務課題にも、弁護士と社労士が連携して対応いたします。

場面別の活用事例

顧問弁護士の活用は、トラブル発生時の対応だけではありません。むしろ、トラブルを未然に防ぐ「予防法務」こそが、顧問弁護士を持つ最大のメリットです。ここでは、場面別の活用事例をご紹介します。

トラブル発生時|顧問弁護士がいた場合といなかった場合の比較

同じようなトラブルでも、顧問弁護士がいるかいないかで、対応のスピードや結果が大きく異なります。

事例:従業員から残業代請求を受けた場合

このように、顧問弁護士がいることで、トラブル発生時の対応スピードが格段に上がり、結果的に金銭的・時間的コストを抑えることができます。

予防段階|リスクを事前に排除した事例

顧問弁護士を活用して、トラブルを未然に防いだ事例をご紹介します。

事例1:契約書の見直しで将来の紛争を回避

あるサービス業の会社では、顧問弁護士に依頼して、取引先との契約書を全面的に見直しました。その過程で、「契約解除条項が不明確」「損害賠償の範囲が広すぎる」などの問題点が発見され、順次修正を行いました。

その後、ある取引先との関係が悪化し契約解除を検討することになりましたが、契約書の整備が済んでいたため、スムーズに解除手続きを進めることができました。

事例2:就業規則の整備で労務トラブルを予防

ある製造業の会社では、顧問弁護士と社会保険労務士の連携により、就業規則の全面改定を行いました。特に、残業時間の管理方法、変形労働時間制の適切な運用、ハラスメント防止規程の整備などに重点を置きました。

その結果、従業員からの労務に関する問い合わせがあった場合も、就業規則に基づいて明確に回答できるようになり、労務トラブルの芽を早期に摘むことができています。

弁護士法人エースでは、このような予防法務を重視し、トラブルを未然に防ぐための「積極的な顧問関係」を大切にしています。お守り代わりではなく、経営者のパートナーとして伴走するスタイルを心がけています。

顧問弁護士を活用しきれない失敗例

せっかく顧問弁護士と契約しても、十分に活用できていない企業も少なくありません。ここでは、よくある失敗例と対策をご紹介します。

相談を遠慮してしまう

「こんな些細なことで相談していいのだろうか」「忙しい弁護士の手を煩わせるのは申し訳ない」と遠慮してしまい、結果的に顧問弁護士をほとんど活用できていないケースがあります。

失敗例

ある会社では、顧問契約を締結したものの、「相談するほどの案件がない」と思い込み、1年間で相談したのは1〜2回程度でした。その後、取引先との契約トラブルが発生しましたが、日頃から相談していなかったため、弁護士に状況を一から説明する必要があり、対応が遅れてしまいました。

対策

顧問弁護士への相談に遠慮は不要です。「これって相談していいのかな?」と迷うレベルの案件こそ、早めに相談することでトラブルの芽を摘むことができます。また、定期的に状況報告の場を設けることで、弁護士側も会社の状況を把握しやすくなり、より適切なアドバイスが可能になります。

弁護士法人エースでは、電話・メール・LINEでの相談に対応しており、ちょっとした疑問でもすぐに相談できる体制を整えています。「弁護士に相談する」という心理的なハードルを下げ、気軽にご相談いただける関係性を大切にしています。

専門分野が合っていない

顧問弁護士の専門分野と、自社で発生するトラブルの種類が合っていないケースもあります。弁護士にはそれぞれ得意分野があり、すべての分野に精通しているわけではありません。

失敗例

ある会社では、知人の紹介で顧問弁護士と契約しましたが、その弁護士の専門は離婚・相続などの家事事件でした。会社で労務トラブルが発生した際に相談したところ、労働法に詳しくなかったため適切なアドバイスを受けられず、結局別の弁護士に依頼することになりました。

対策

顧問弁護士を選ぶ際は、企業法務(契約書、労務、債権回収など)の経験が豊富かどうかを確認することが重要です。また、自社の業種に対する理解があるかどうかもポイントです。契約前に、事務所の取扱分野や実績を確認し、自社のニーズに合っているかを見極めましょう。

顧問弁護士の選び方について詳しくは「顧問弁護士の選び方」をご覧ください。

まとめ

顧問弁護士には、契約書のリーガルチェックから労務トラブル、クレーム対応、M&A・事業承継まで、経営に関わる幅広い法的課題を相談できます。業種によって発生しやすいトラブルは異なりますが、いずれの場合も「トラブルが発生してから」ではなく「トラブルが発生する前に」相談することが、顧問弁護士を活用する最大のポイントです。

顧問弁護士を「お守り」として契約するのではなく、経営者のパートナーとして積極的に活用することで、法的リスクを最小限に抑え、本業である経営に集中できる環境を整えることができます。

弁護士法人エースでは、月額5万円から顧問契約を承っております。電話・メール・LINEでの相談は無制限、予約不要でいつでもご相談いただけます。また、グループ内に社会保険労務士法人を有しているため、法務と労務をワンストップでサポートすることが可能です。

「顧問弁護士に何を相談できるのか、もっと詳しく知りたい」「自社の業種に合った活用方法を相談したい」という経営者の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。初回相談は無料です。

電話相談受付:0120-419-155(年中無休 8:00〜22:00)

顧問弁護士の全体像については「顧問弁護士とは」をご覧ください。

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

竹内 省吾

経歴
慶應義塾大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2011)
弁護士登録(2012)
第一東京弁護士会・こども法委員会 委員(2020まで)
三田法曹会 会員
日本交通法学会 会員
東京都子供の権利擁護調査員(2020まで)
静岡県弁護士会 会員(2020から2023まで)
第一東京弁護士会 会員(2023)

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

成田 翼

経歴
明治大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2012)
弁護士登録(2013)
神奈川県弁護士会 所属
刑事弁護委員会 委員
三田法曹会 会員

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