契約書トラブル事例と予防策|よくある失敗と弁護士の活用法

  • 2026/2/6

契約書をめぐるトラブルは、企業経営において深刻な問題に発展することがあります。ある調査では、中堅・中小企業の契約担当者の約6割が「契約書の確認不足によるトラブルを経験した」と回答しており、契約書の問題は決して他人事ではありません。本記事では、よくある契約書トラブルの事例と具体的な予防策、そしてトラブル発生時の対応について解説します。弁護士を上手に活用することで、多くのトラブルは未然に防ぐことができます。

契約書トラブルが企業経営に与える影響

契約書に関するトラブルが発生すると、企業は様々な面で大きなダメージを受けることになります。経営者の方には、まずその影響の深刻さを正しく理解していただきたいと思います。

金銭的な損害

契約書トラブルの最も直接的な影響は金銭的損害です。契約条項の解釈をめぐって争いになった場合、契約書の記載内容によっては数百万円から数千万円の賠償金を支払う事態に発展することもあります。たとえば、損害賠償の上限が定められていない契約書では、相手方から予想外の高額請求を受ける可能性があります。

また、契約書がないまま取引を進めていた場合、相手方が契約の解除を拒否し、取引が停止したことで数千万円の損害が生じたケースも実際に存在します。契約書の一言が、会社の損益に大きく影響することを認識しておく必要があります。

信用毀損と取引関係の悪化

契約トラブルは取引先との関係悪化に直結します。一度トラブルが起きると、相手方からの信頼を失い、その後の取引継続が難しくなることも少なくありません。さらに、業界内での評判にも影響し、新規取引先の開拓に支障が出る可能性もあります。

時間と労力のロス

契約トラブルの解決には、経営者自身や従業員の貴重な時間と労力が費やされます。本来であれば事業成長に充てるべきリソースが、トラブル対応に消費されてしまうのです。訴訟に発展した場合には、解決まで数年を要することもあり、その間の経営への影響は計り知れません。

よくある契約書トラブル5選

実際にどのような契約書トラブルが多いのか、当事務所でも相談の多い5つのパターンをご紹介します。これらの事例を知ることで、自社の契約書に潜むリスクを発見できるかもしれません。

1. ひな形をそのまま使用したことによる不適合

インターネット上で無料配布されているひな形や、同業他社からもらった契約書をそのまま使用するケースは非常に多いです。しかし、ひな形はあくまで汎用的なものであり、自社の取引実態に合っていないことがほとんどです。

ひな形は作成者にとって有利な条項が含まれていたり、自社に必要な条項が欠けていたりすることがあります。また、法改正前に作成された古いひな形を使用している場合、現行法に適合していない可能性もあります。2020年の民法改正以降、特に注意が必要です。

2. 曖昧な条項による認識の齟齬

契約書の文言が曖昧だと、当事者間で解釈が分かれ、トラブルの原因となります。たとえば、業務委託契約で「必要な業務」と記載されていた場合、どこまでが「必要な業務」に含まれるのか、委託者と受託者で認識が異なることがあります。

ある事例では、駐車場の管理業務を委託する契約において、「駐車場の入口における自動車の誘導業務」が「駐車場の管理」に含まれるかどうかで紛争に発展しました。契約時点では問題なく見えても、取引途中で認識の違いが表面化することは珍しくありません。

3. 責任範囲・損害賠償条項の未整備

損害賠償の範囲や上限、責任の所在が明確に定められていない契約書は、トラブル発生時に大きな問題を引き起こします。特に相手方から提示された契約書をそのまま締結した場合、自社にとって不利な条項が含まれていることが少なくありません。

損害賠償の上限規定がない場合、想定外の高額賠償を請求されるリスクがあります。また、免責条項が相手方にのみ有利に設計されている契約書も多く見られます。

4. 契約解除条件の未整備

契約をどのような場合に解除できるのか、解除時の精算方法はどうするのかが不明確な契約書は、取引を終了させたい場面で問題となります。

たとえば、発注書と請書だけで売買取引を進めていた事案で、売主が税金滞納により差し押さえを受けたため買主が契約解除を申し出たところ、売主から「差し押さえは解除事由ではない」と拒否され、結局数千万円の損害が生じたケースがあります。

5. 電子契約・契約管理の不備

近年普及が進む電子契約においても、トラブルは発生しています。権限のない従業員が契約を締結してしまう無権代理契約や、契約書の有効期限切れに気づかないまま取引を継続してしまうケースなどがあります。

また、過去の契約書との整合性が取れていない契約を締結してしまい、どちらの条項が適用されるのかで争いになることもあります。

契約書トラブルを予防する5つのポイント

契約書トラブルを未然に防ぐために、経営者の方に実践していただきたいポイントを5つご紹介します。

1. 締結前のリーガルチェックを徹底する

契約書は締結してしまうと、その内容に拘束されます。たとえ内容が自社に不利であっても、一度合意した以上は「知らなかった」では済まされません。だからこそ、締結前のリーガルチェック(契約書レビュー)が極めて重要です。

リーガルチェックでは、法令違反がないか、自社に不利益な条項がないか、曖昧な表現がないかなどを専門家の目で確認します。

→ リーガルチェックの具体的なポイントについては、リーガルチェックとは?必要性・費用相場・依頼の流れを解説で詳しく解説しています。

2. ひな形に頼らず取引実態に合った契約書を作成する

ひな形はあくまで参考程度にとどめ、自社の取引実態に合った契約書を作成することが重要です。特に継続的な取引や金額の大きい取引については、専門家に依頼して契約書を作成してもらうことをおすすめします。

→ 契約書作成を弁護士に依頼するメリットや具体的な流れについては、契約書作成を弁護士に依頼するメリットと費用相場で詳しく解説しています。

3. 相手方からの契約書も必ず精査する

取引先から提示された契約書について、「大手企業だから問題ないだろう」「関係が良好だから変更を求めにくい」と考えて、そのまま締結してしまうケースがあります。しかし、相手方から提示される契約書は、当然ながら相手方にとって有利な内容になっていることが多いです。

良好な関係であっても、契約書の内容はしっかり確認し、必要な修正は遠慮なく申し入れることが大切です。

4. 契約書の定期的な見直しを行う

法令改正や取引内容の変化に合わせて、既存の契約書も定期的に見直す必要があります。特に2020年の民法改正により、契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)や保証契約に関するルールが大きく変わりました。改正前に作成した契約書を見直さずに使い続けることは、思わぬリスクを抱えることになります。

5. 専門家への相談体制を整える

契約書に関する問題は、発生してから対応するよりも、事前に予防する方がはるかに効率的です。日常的に相談できる専門家がいれば、契約締結前に問題点を指摘してもらえるため、トラブルを未然に防ぐことができます。

顧問弁護士がいれば、電話やメール、LINEなどで気軽に相談でき、契約書のリーガルチェックも迅速に対応してもらえます。

→ 顧問弁護士の活用については、顧問弁護士とはもあわせてご覧ください。

トラブル発生時の対応と弁護士の役割

万が一、契約書に関するトラブルが発生してしまった場合の対応についても知っておく必要があります。

初動対応の重要性

トラブル発生時は、初動対応が極めて重要です。相手方との無用なやり取りを続けると、後の交渉や訴訟で不利になる発言をしてしまう可能性があります。トラブルの兆候を感じたら、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談することで、契約書の解釈について法的な見解を得られるとともに、今後の対応方針についてアドバイスを受けることができます。

交渉代理

弁護士が代理人として交渉に入ることで、感情的な対立を避け、法律に基づいた冷静な話し合いが可能になります。また、契約書の条項について複数の解釈が成り立つ場合でも、弁護士が自社に有利な論拠を組み立てて交渉を進めることができます。

相手方も弁護士が介入していることで、無理な要求をしてこなくなることが多く、交渉自体がスムーズに進むケースも少なくありません。

訴訟対応

交渉で解決しない場合は、訴訟による解決が必要になることもあります。訴訟においては、契約書の記載内容が最も重要な証拠となります。弁護士は、契約書の条項をどのように解釈すべきか、法的な主張を組み立てて裁判所に訴えかけます。

訴訟は時間と費用がかかるため、できる限り予防段階での対応が望ましいですが、やむを得ず訴訟となった場合も、弁護士が代理人として対応することで、経営者の方は本業に集中することができます。

顧問弁護士を活用した予防的法務

契約書トラブルを防ぐ最も効果的な方法は、顧問弁護士との継続的な関係を築き、日常的に法的サポートを受ける体制を整えることです。

日常的な相談体制のメリット

顧問弁護士がいれば、契約書に関する疑問が生じた際にすぐに相談できます。「この条項は問題ないだろうか」「相手方からこんな契約書を提示されたがどうすべきか」といった相談を気軽にできる環境があれば、トラブルを未然に防ぐことができます。

また、顧問契約を締結していれば、個別のリーガルチェック費用も割安になることが一般的です。費用を気にして相談を躊躇するという事態を避けられます。

リスク管理体制の構築

顧問弁護士は単にトラブル対応をするだけでなく、企業のリスク管理体制の構築もサポートします。契約書のひな形の整備、社内の契約管理フローの改善、従業員への教育など、包括的なサポートを受けることで、会社全体の法的リスクを低減できます。

→ 顧問弁護士サービスの詳細については、顧問弁護士の費用相場と料金体系もあわせてご覧ください。

弁護士法人エースの契約トラブル対応

弁護士法人エースでは、契約書の作成・リーガルチェックから、トラブル発生時の交渉・訴訟対応まで、契約に関するあらゆる問題に対応しています。

少数精鋭の総合法律事務所として

当事務所は、少数精鋭の総合法律事務所として、契約書に関する幅広い問題に対応可能です。大手事務所のような高コスト体質ではなく、かといって専門特化型事務所のように対応範囲が狭いということもありません。契約トラブルから派生する労務問題や債権回収まで、ワンストップでサポートいたします。

経営者視点でのアドバイス

代表弁護士は複数法人の代表を兼任しており、弁護士でありながら経営者としての実体験を持っています。法律的には正しいが経営的には得策ではないというケースも含め、経営者の立場に立ったアドバイスが可能です。

複数担当制による迅速な対応

当事務所では複数担当制を採用しており、チームで案件に対応します。そのため、担当者不在で連絡が取れないという心配がなく、レスポンスの早さには定評があります。契約トラブルは時間との勝負になることも多いため、この迅速な対応体制は大きな強みです。

顧問契約によるコストメリット

顧問契約は月額5万円からご利用いただけます。顧問先企業様には、電話・メール・LINEでの相談が無制限、個別案件は通常料金の2割引で対応いたします。契約書のリーガルチェックを都度依頼するよりも、トータルコストを抑えながら安心して事業を運営していただけます。

契約書に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

まとめ

契約書トラブルは、企業に金銭的損害、信用毀損、時間と労力のロスという三重の打撃を与えます。よくあるトラブルとしては、ひな形の不適合、曖昧な条項、責任範囲の未整備、解除条件の不備、電子契約の問題などが挙げられます。

これらのトラブルを予防するためには、締結前のリーガルチェック、取引実態に合った契約書作成、相手方契約書の精査、定期的な見直し、専門家への相談体制整備が重要です。そして、万が一トラブルが発生した場合には、早期に弁護士に相談し、適切な初動対応を取ることが解決への近道となります。

契約書の問題は、発生してから対応するよりも、事前に予防する方がはるかに効率的です。顧問弁護士を活用して予防的法務体制を構築することで、安心して事業運営に集中していただけます。

弁護士法人エースでは、契約書の作成・リーガルチェックから、トラブル発生時の交渉・訴訟対応まで、一貫してサポートいたします。契約書に関するお悩みは、ぜひ当事務所にご相談ください。初回相談は無料、電話受付は年中無休で8:00〜22:00まで対応しています。

電話相談受付:0120-419-155(年中無休 8:00〜22:00)

→ 契約書の作成・リーガルチェック全般については、契約書の作成・リーガルチェックもあわせてご覧ください。


監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

竹内 省吾

経歴
慶應義塾大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2011)
弁護士登録(2012)
第一東京弁護士会・こども法委員会 委員(2020まで)
三田法曹会 会員
日本交通法学会 会員
東京都子供の権利擁護調査員(2020まで)
静岡県弁護士会 会員(2020から2023まで)
第一東京弁護士会 会員(2023)

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

成田 翼

経歴
明治大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2012)
弁護士登録(2013)
神奈川県弁護士会 所属
刑事弁護委員会 委員
三田法曹会 会員

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