交通事故に遭った際の慰謝料の種類や金額、慰謝料を受け取れるようになるまでの期間は、場合によって異なります。
ここでは、交通事故に遭った場合の慰謝料の基礎知識や受け取るまでの流れ、請求方法などを確認しておきましょう。
目次
交通事故の慰謝料とは精神的な苦痛を癒すお金
交通事故に遭った場合、加害者に慰謝料を請求できます。
交通事故後は怪我の治療のために入院・通院する必要があり、その治療費にも慰謝料は宛てられます。しかし、治療を受けても完全に治らない怪我をしたり、治療のために進学や昇進に影響が出たり、治療そのものへの痛みや恐怖があると、精神的な苦痛は大きくなります。
この精神的な苦痛を癒すために支払われるものが慰謝料です。
慰謝料は交通事故に遭えば必ず支払われるというものではなく、交通事故による怪我で入院・通院する必要がある場合、後遺症が残った場合、さらに被害者が死亡した場合に発生します。
入院・通院のために支払われる慰謝料を損害慰謝料・入通院慰謝料、後遺症が残った場合に支払われる慰謝料を後遺症慰謝料、被害者が死亡した際に支払われる慰謝料を死亡慰謝料と呼びます。
事故を起こしてから慰謝料をもらうまでの流れ
交通事故に遭うと治療費などの出費が増える一方で、仕事ができなくなり収入が減ってしまいます。少しでも早く慰謝料を受け取りたいところですが、焦らずにしっかり慰謝料をもらうまでの流れを確認することが大切です。
示談の場合は治療の完了・症状固定まで待つ
交通事故の慰謝料を受け取る方法には、示談と裁判の2種類があります。
示談は、慰謝料などの損害賠償請求を行うために必要なものです。示談で慰謝料を請求するには、まずは治療の完了、症状の固定を待たなければなりません。症状の固定とは、治療を続けてもこれ以上症状がよくなる見込みがないという段階です。
入院、通院中は、その後症状が完全に治るのか後遺症が残るのか不明なため、この段階で慰謝料を計算するとあとから増額しにくくなります。
後遺症はその度合いによって等級が決められ、慰謝料を請求できる金額も変動します。後遺症を認めてもらうには後遺障害診断書を作成する必要があるため、慰謝料の計算ができるようになるまで1年以上かかるケースもあります。
示談の場合最短2週間程度で慰謝料をもらえる
交通事故による怪我の度合いが軽く、すぐに治療が完了した場合は最短2週間程度で慰謝料を請求することができます。しかし、最低でも加害者が加入している保険会社から示談書が届くまでの数日間、示談書の内容を確認しサインをして郵送するまでの数日間、さらにその保険会社の手続きに必要な数日間がかかります。
どんなに早く治療が完了しても、書類の郵送に時間がかかったり保険会社の手続きが遅れたりすると慰謝料の支払いが遅れます。
また、このような短期間ですぐに慰謝料を受け取ることができるケースは少なく、多くは早くても数ヵ月かかるケースがほとんどです。
焦って示談を進める必要はない
示談では裁判よりも早く慰謝料を支払ってもらうことができますが、早く慰謝料がほしいからといって即座に示談を進めてしまうことは賢明ではありません。
交通事故後の治療が完了していない段階、また後遺障害が残るかわからない状態で慰謝料の金額を決定してしまうと、その後治療が長引いたり後遺障害が残ったりした場合に追加で慰謝料を請求することが難しくなります。
結果的に出費が多くなってしまうケースもありますので、慰謝料の計算は治療を重ねてから行うようにしましょう。
示談の内容に納得できない場合は裁判を起こす
慰謝料の請求方法には示談のほかに裁判があります。
いきなり裁判を行うということではなく、示談の内容に納得できない場合に裁判が取り入れられます。慰謝料の金額、慰謝料の内訳など、示談書の内容に本当に納得できるかどうかよく確認するようにしましょう。
裁判を行う際は弁護士を雇う必要があります。裁判で慰謝料の内容が認められると、弁護士を雇った分の金額も慰謝料に含めて請求することができます。
また、保険会社の弁護士特約に加入している場合は、弁護士に依頼した料金を保険会社が肩代わりしてくれます。
弁護士を雇うとお金がかかるからと示談で済ませてしまう方も多いですが、お得に弁護士を利用する方法はたくさんあります。示談の内容をふまえて、裁判を起こすべきかどうか、よく考えるようにしましょう。
裁判の場合は1年から4年程度かかる
示談で慰謝料を請求するには治療の完了、症状固定を待たなければなりません。
そこから示談が進みますので、裁判を起こす場合は示談までの期間にプラスして、裁判が完了するまでの期間は慰謝料を支払ってもらうことができません。
裁判が完了するには、最低でも1年、長引く場合は4年以上かかります。後遺障害などが問題となる場合は、より裁判の期間が長くなると考えておかなければなりません。
慰謝料の請求方法を確認しましょう
慰謝料は実際にはどのように請求するのでしょうか。慰謝料の計算や受け取り方など、慰謝料の請求方法について確認していきましょう。
治療の完了・症状が固定してから慰謝料を計算する
慰謝料はすべてまとめて請求するものですので、まずは焦らずに治療に専念し、治療の完了、症状固定を待ちましょう。治療がある程度進んだころに、保険会社から示談の話が来ます。
しかし、まだ治療を続ける必要がある場合は示談に応じる必要はありません。
打撲、ムチウチ、骨折などの怪我の度合いに合わせて保険会社の治療打ち切りの目安がありますが、打ち切り後も保険で治療を受けてその金額を慰謝料として請求することが可能です。
保険会社と交渉して金額を決定する
治療が完了、また症状が固定したら、本格的に慰謝料の計算を進めていきます。
慰謝料の計算方法では、3つの基準の中からより最適なものを選ぶ必要があります。
自賠責基準を利用した計算では、必要最低限の慰謝料が算出されます。治療日数や治療期間から計算され、死亡した場合なども支払われる金額は一律です。
任意保険基準を利用した計算では、加入している保険会社の基準によって慰謝料が変動します。入院した期間、通院した期間、治療に要した期間などから慰謝料を計算します。自賠責基準よりも高額な慰謝料を請求することが可能です。
弁護士基準を利用した計算では、弁護士が法的にふさわしいと認める金額の慰謝料を請求できます。弁護士を探す必要がある、弁護士に依頼する費用がかかるというデメリットがありますが、慰謝料の計算方法の中でももっとも高額な慰謝料を請求することが可能な方法です。
これらの基準を利用して慰謝料を計算し、保険会社と慰謝料の金額を相談して決定していきます。お互いに納得のいく金額に落ち着けばその後慰謝料が支払われ、納得できない場合は裁判を起こします。
慰謝料は基本的に一括で支払われる
交通事故の慰謝料は基本的に一括で支払われます。加害者側から分割払いの要求があり、被害者側も分割払いに納得した場合のみ分割払いになるケースもあります。しかし、分割払いにすると途中から支払われなくなる可能性もあるため、慰謝料を受け取る側にメリットはありません。
とくに分割払い中に加害者側が自己破産した場合は、慰謝料の支払いが途中でストップしてしまいます。
自賠責保険の場合は自己破産していても慰謝料を請求することができます。
いずれにせよ手間がかかってしまい、不安も大きくなるため、スムーズに取引できるよう一括で受け取れるようにしましょう。
交通事故の慰謝料請求は弁護士に相談する
交通事故の慰謝料をより増額するには、弁護士基準を利用することが大切です。
しかし弁護士基準の場合、弁護士に相談しなければ計算することができません。
より高額な慰謝料を請求するためにも、交通事故の慰謝料については弁護士に相談するようにしましょう。
示談がまとまらない場合は弁護士に相談
示談の内容に納得できない、慰謝料の金額に納得できない、治療中なのに保険会社から治療を打ち切られたなどのトラブルが起きた場合、弁護士に相談する方がスムーズに解決できます。
交通事故後の治療は精神的にも大きな負担となり、その中で示談の話を進めていくことが困難な方もいます。保険会社との難しいやり取りも、弁護士に相談すれば代わりに行ってもらえます。
示談の内容を確認し、正しい情報を記入、また必要書類などを揃えてくれる弁護士は、示談の成立に貢献してくれるでしょう。
お得に弁護士に相談する方法を利用する
相談だけなら無料でできる、慰謝料の中から相談料を支払うなど、近年はお得に相談できる弁護士事務所の数が増えてきています。示談の内容で不明な点がある場合はこのような弁護士事務所に相談しましょう。
交通事故の相談の実績が多い弁護士事務所に相談するとよりスムーズです。
また、弁護士特約に加入していれば弁護士への相談料は保険会社が支払ってくれるので、相談料の心配をする必要がなくなります。
交通事故の慰謝料請求を行うなら弁護士の力を借りる
交通事故の慰謝料についてご紹介いたしました。交通事故の慰謝料が支払われるまでには治療が完了して示談を進め、場合によっては裁判を起こすといったステップを踏まなければなりません。
焦らずに、場合によっては弁護士を上手に活用して、より高額な慰謝料を請求できる方法を確認しましょう。
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