人として強く,新しく

小島 紗理SARI KOJIMA

パラリーガル

CAREER

経歴 立教大学法学部卒業(2005)
趣味 建築物巡り、寝ること、ジャケット買い

弁護士志望からファッションブランドへ就職

私は、幼少のころから、口達者で気が強く、クラスの中でも一番に成績が良かったし、自信も余りあるほど持っていて、将来は法学部に進学して、弁護士になるとなんの疑問もなく考えていました。高校生の時には、友達と地元の地方裁判所に傍聴しに行ったこともありました。そして、何の迷いもなく、大学では法学部に入学しました。
ところが、いざ、自分の将来を考えなければいけないというときに、弁護士を目指していたはずが、私は、自分はこんなちっぽけな存在で、自分は他人と何が違うのか、自分はどうなりたいのかと考えるようになっていました。その時に出会ったのが、あるファッションブランドでした。

当時、綺麗な色で美しいシルエット、素材も豪華で、男性の視線を集められるようなファッションが主流だった時代に、そのブランドのデザイナーは、禁忌的な扱いをされていた黒色で、しかも穴の開いたぼろぼろのニットを着せたモデルをパリコレクションで歩かせました。私は、小さい頃からファッションが大好きで、着ている服が自分の価値であるとさえ考えていました。しかし、このブランドに出会って、本当に美しいもの、強いものとは人間そのものだと気づかされました。また、当たり前だと思われていることに対して堂々とけんかを売って、自分の信念を世界に発信したこのデザイナーの、人として、また女性としての強さ、新しさが、私にとってものすごい衝撃でした。もっと強くて美しい(見た目ではなく)人間になりたい、そのためには、彼女の考えをもっと知るために、彼女の会社で働こうと思ったのです。割と単純なところが私の特徴のひとつです。
こうして、親の反対を押し切って、新卒でその会社に就職し、お店でそのブランドの服を売る販売員として働きました。

挫折と法律の世界への未練から法律事務所へ転職する

しかし、仕事は、なかなか上手くいきませんでした。お客様に提供する商品は、世界中で評価されているもので、それを扱っていることには誇りを感じていましたが、その商品を扱っている自分が何かクリエイティブで優れたように勘違いしていただけで、結局自分はそのデザイナーの1ファンでしかなかったんだと今となっては思います。
そして、販売員として働くということは、売り上げがすべてです。お客様とも駆け引きが必要で、これを今ここで売らなければというプレッシャーと常に戦っていました。似合っていなくても似合っていると褒めてしまう...また納品されることが分かっていても、これは最後の一つですと言ってしまう...私にとって、お客様は、対戦相手のようなもので、そんな風に働いている自分が嫌いでした。

その一方で、ずっと心のどこかにあって、でもいつも奥に押し込んでいた、高校時代まで夢見ていた法曹の世界への未練が、またふつふつと湧き上がってきていました。もうさすがに無理でしょという気持ちで、また押し込もうとしましたが、自分が自分に、何か後ろめたさのようなものを感じ始め、ああ、もうこれ以上自分をごまかせないなと思いました。だめもとで挑戦しよう。決断したら、すぐに行動するのが、良くも悪くも私のもうひとつの特徴で、その時既に30歳を過ぎていましたが、法律業界に手ぶらで飛び込みました。その時に、何の経験もなかった私を受け入れてくれた法律事務所には、今でも本当に感謝しています。

パラリーガルとしての心構え

紆余曲折あった私の人生で、今、弁護士法人エースの立ち上げに参加できていることに、心から誇りと自信を持っています。信頼できる仲間と、かっこわるくてもぶつかり合いながら、夢を語り合いながら同じ場所を目指す、そのプロセスが心から楽しみです。
バラリーガルとして数年経験を積み、できることも増え、頼りにされることも多くなりましたが、まだまだ勉強しなければいけないことがたくさんあると思っています。新しい壁にぶつかるたびに、弁護士やパラリーガルの先輩にしつこく聞いたり、自分で調べたりと勉強の日々です。でも、依頼者の方の人生の一部を背負うことになる以上、人として真剣に向き合う心構えはできています。
以前、担当させていただいた事件の依頼者の方が、事件が解決した後も、連絡してきてくださって、近況を報告してくれ、あなたと話すと気持ちが楽になると言っていただいたことがあります。法律の知識はまだまだ足りないけれど、人として依頼者の方の力になれたことがとても嬉しかったことを覚えています。
もしかしたら、インターネットで調べれば、解決策がもう載っているかもしれません。でも、私は、人に話すことで得られる安心感、人と一緒に戦う強さ、人が背中を押してくれる温かさを大切に、エースの一員として仕事に臨みたいと思っています。