無料求人サイトが自動で有料に?弁護士に相談だ!
悪質な方法で契約する求人サイト業者が増えています。
人手不足の昨今,有効な求人広告を求める中小企業の経営者の方が増えています。
そのような経営者のニーズに付け込んだ悪質な求人広告業者が増えています。その手口は次の通り。
まず,電話やFAXでの営業から始まります。これはよくあることなので何も疑問を抱かない経営者の方が多いと思います。その中で,「今なら,○週間無料で求人サイトに求人情報を載せられます」のような言葉で巧みに契約に持ち込みます。
ところが,その契約書をよく読むと,無料期間が終了したのちには,自動的に有料プランに更新されることになっているのです。そして,その広告掲載料として10数万円〜数十万円程度の掲載料を請求してくるのです。
多くの中小企業の経営者の方は,多忙ということもあり契約書を仔細に読むことはしないことの方が多いでしょう。上記のような契約は,この点を突いたものです。
また,掲載料が10数万円ということだと,「契約書を読まなかった自分が悪い」と考えてお金を払ってしまう経営者もいます。
本当にこのような契約も有効で,掲載料を払わないといけないのかを検証します。
原則有効・・・無料からの有料更新。
原則論を言ってしまえば,無料で勧誘しておいて自動的に有料に切り替わる契約も有効です。個人対企業という場合であれば「消費者契約法」という一般市民の最強の武器となる法律によって,分かりにくい契約書の書き方であるとか勧誘方法を捉えて「無効」とする余地はあります。
しかし,今回のケースは事業者vs事業者という対等な関係ですので,消費者契約法を使えないのです。
そうなると,法の一般原則である私的自治によって,契約書に書いてある事柄は原則として有効ということになってしまうのです。
しかし,上記のような求人サイトの勧誘方法の悪質性や,実際の効果と掲載料金の高さが見合っていないこと,契約書が明らかに自動で有料に切り替わるところを小さく見落としやすい位置に記載されていることなど様々な具体的事情から,公序良俗違反(民法90条)で無効にできる可能性があります。
ですので,万が一上記のような求人サイト業者からの請求がきてしまった場合には,すぐに支払ってしまうのではなく弁護士に相談されることをお勧めします。
数十万円のために弁護士に相談して弁護士費用を数十万円払うのか?と思われる方もいるかもしれませんが,弁護士費用がいくらになるかは案件によりますし,例えば相談費用だけでも有効な相談を受けることができる場合もあります。
また,弁護士名義で「払わない」という書面を出すことで,相手が諦めるパターンも多いようです。
予防が一番の対策
何事もそうですが,こういう法律トラブルも,予防が一番費用対効果の良い対策です。
顧問弁護士がいるのであれば,とにかく契約書にサインする前にはレビューをしてもらうことです。せっかく顧問契約をしているのですから,是非とも活用しましょう。
顧問弁護士がいないのであれば,できる限り契約書を丁寧にチェックするしかないのですが,経営者の方の時間をかなり割かれてしまうことを考えると,顧問弁護士を付けることを検討される方が結局はリーズナブルということもあります。
それでも契約して請求がきてしまったら?
やはり弁護士に相談すべきです。
例えば,内容証明郵便により支払拒絶をするところまでは顧問料の範囲内でやってくれることもあるでしょうから,顧問弁護士に相談するか,顧問弁護士がいない場合にはこれを機に顧問弁護士を付けてその顧問料の範囲で対応してもらうなどを検討しましょう。
現在,私が把握している情報によると,裁判で請求されるということはないわけではないようですが,かなり稀なようです。
全国でも被害が広がりつつある悪質な商法です。
被害に遭ってしまったら,頼れる弁護士を探して相談してください。