特許出願の流れと費用|中小企業の技術を守る方法

  • 2026/6/11

自社が独自に開発した技術やアイデアを、他社に模倣されずに守りたい。そのために有効な手段が特許出願です。しかし、「特許出願の手続きはどう進めるのか」「費用はどのくらいかかるのか」「中小企業でも取得できるのか」といった疑問をお持ちの経営者の方も多いでしょう。特許出願は、正しい知識と計画があれば中小企業でも十分に活用できる制度です。この記事では、特許出願の具体的な流れと費用相場、中小企業が活用できる軽減制度まで、わかりやすく解説します。

特許制度の基礎知識

特許権とは、新しい技術的なアイデア(発明)を保護する権利です。特許庁に出願し、審査を経て登録されると、出願日から最長20年間、その発明を独占的に実施できます。

特許権の保護対象

特許法で保護される「発明」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義されています。具体的には、以下のようなものが対象です。

  • 物の発明: 新しい製品、装置、化学物質など
  • 方法の発明: 新しい製造方法、処理方法など
  • プログラムの発明: ソフトウェア、アルゴリズムなど

一方で、自然法則そのものや、単なるアイデア(ビジネスモデルそのもの等)は特許の対象にはなりません。

特許を取得するための要件

特許を取得するためには、主に以下の要件を満たす必要があります。

  • 新規性: これまでに知られていない新しい発明であること
  • 進歩性: 当業者(その技術分野の専門家)が容易に思いつけないレベルの発明であること
  • 産業上の利用可能性: 産業として実施できるものであること

特許出願の流れ

特許出願から権利化までは、以下のステップで進みます。

ステップ1:先行技術調査

出願前に、同一または類似の発明がすでに公開されていないかを調査します。特許庁の「J-PlatPat」で無料検索が可能です。先行技術が見つかった場合は、自社の発明との差異を明確にしたうえで出願する必要があります。

ステップ2:明細書の作成

特許出願に必要な書類(明細書、特許請求の範囲、図面等)を作成します。特に「特許請求の範囲(クレーム)」は、権利の範囲を決定する重要な部分です。広すぎると拒絶されやすく、狭すぎると十分な保護が得られないため、専門家の助力を得て適切な範囲を設定することが重要です。

ステップ3:出願

特許庁に願書と添付書類を提出します。出願日が確定すると、出願から1年6か月後に出願内容が公開されます。

ステップ4:審査請求

特許出願しただけでは審査は始まりません。出願日から3年以内に「審査請求」を行う必要があります。この期間内に審査請求を行わないと、出願が取り下げられたものとみなされます。

審査請求のタイミングは、事業戦略に応じて判断します。市場の動向を見極めてから審査請求を行うことも可能です。

ステップ5:審査・中間応答

審査官が出願内容を審査し、特許要件を満たさない場合は「拒絶理由通知」が送付されます。これに対して意見書や補正書を提出し、審査官を説得します。この手続きを「中間応答」と呼びます。

ステップ6:特許査定・登録

審査の結果、特許要件を満たしていると判断されると「特許査定」が下されます。設定登録料を納付することで、特許権が正式に発生します。出願から登録まで、通常1年〜1年半程度かかります。

特許出願の費用相場

特許出願にかかる費用は、「特許庁に支払う法定費用」と「弁理士への依頼費用」に分けられます。

特許庁に支払う費用

項目 費用
出願料 14,000円
審査請求料 138,000円 + 4,000円 × 請求項数
設定登録料(第1〜3年) 毎年 4,300円 + 300円 × 請求項数

※ 請求項が5つの場合、審査請求料は158,000円となります。

弁理士に依頼した場合の費用

項目 費用目安
出願書類作成(明細書等) 30万円〜60万円程度
中間応答(拒絶理由対応) 5万円〜15万円程度/回
法定費用(実費) 上記の特許庁費用
合計 約50万円〜100万円程度

費用は発明の技術分野や複雑さによって大きく異なります。機械系や電気系は比較的費用が抑えられ、化学系やバイオ系はやや高くなる傾向があります。

→ 知的財産の弁護士費用全般については『知的財産の弁護士費用と相談先の選び方』もあわせてご覧ください。

中小企業が活用できる知財支援制度

特許出願は費用がかかりますが、中小企業向けにはさまざまな軽減制度や支援制度が用意されています。

審査請求料・特許料の減免制度

中小企業は、審査請求料と特許料(第1年〜第10年分)が半額に軽減されます。さらに、中小ベンチャー企業や小規模企業は3分の1に軽減される場合もあります。

外国出願費用の助成金

海外への特許出願を検討する企業には、出願費用の2分の1を補助する「外国出願補助金」があります。また、各自治体が独自の助成制度を設けている場合もあります。

知財総合支援窓口

全国47都道府県に設置されている「知財総合支援窓口」では、知的財産に関する無料相談を実施しています。弁理士や弁護士などの専門家を無料で派遣してもらえるため、出願前の相談に活用できます。

特許を取得すべきか判断するポイント

すべての技術を特許出願すべきとは限りません。以下の観点から、出願の要否を判断しましょう。

特許出願が有効なケース

  • 他社が独自に開発・模倣する可能性がある技術
  • 製品を分析すれば技術内容がわかる場合(リバースエンジニアリング可能)
  • ライセンスビジネスとして収益化を見込める技術
  • 自社のブランディングや資金調達に活用したい技術

営業秘密として保護が有効なケース

  • 製造プロセスなど、外部からは技術内容がわからない場合
  • 特許出願により技術内容が公開されるリスクを避けたい場合
  • 20年以上にわたり技術を独占したい場合

→ 営業秘密として保護する方法については『営業秘密・ノウハウの保護』をご覧ください。

このような特許出願の判断でお悩みの場合は、早めに専門家へご相談されることをおすすめします。弁護士法人エースでは、経営者の視点に立った実践的なアドバイスを行っています。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

弁護士に特許相談するメリット

特許の出願手続き自体は弁理士(特許や商標の出願手続きを専門とする国家資格者)の専門分野ですが、弁護士に相談することで、出願以外の幅広いサポートを受けることができます。

知財戦略の策定

弁護士は、「この技術は特許出願すべきか、営業秘密として保護すべきか」「ライセンス契約で収益化できるか」など、経営戦略と一体化した知財戦略を提案できます。弁護士法人エースでは、代表弁護士自身が経営者であり、経営判断と法律判断の両面からアドバイスが可能です。

契約書の作成・交渉

特許に関連するライセンス契約(知的財産の使用を許諾する契約)、共同研究開発契約、技術移転契約などの作成・交渉は、弁護士の専門領域です。

侵害対応

他社に特許権を侵害された場合や、他社から侵害を主張された場合の交渉・訴訟対応も弁護士が担当します。弁護士法人エースでは、複数の弁護士・パラリーガルによるチーム対応で、迅速な紛争対応が可能です。

→ 侵害対応の詳しい手順は『知的財産権侵害への対応』をご覧ください。

まとめ

特許出願は、中小企業の技術を守り、競争力を高めるための有効な手段です。費用は50万円〜100万円程度かかりますが、中小企業向けの軽減制度を活用すれば負担を抑えることができます。

特許出願のポイントは以下のとおりです。

  • 先行技術調査を行い、新規性・進歩性を確認する
  • 出願から3年以内に審査請求が必要
  • 中小企業は審査請求料・特許料の軽減制度を活用できる
  • 特許出願と営業秘密保護の使い分けを検討する
  • 弁護士に相談することで、知財戦略の策定から契約・紛争対応まで一貫したサポートが可能

→ 知的財産の企業法務全般については『知的財産の企業法務|中小企業の知財戦略と弁護士活用ガイド』をご覧ください。

弁護士法人エースでは、特許出願に関するご相談を初回無料でお受けしています。

  • 複数弁護士・パラリーガルによる迅速対応
  • LINE・電話・メールでいつでも相談可能
  • 経営者のパートナーとして伴走

お問い合わせ
電話相談受付:0120-419-155(年中無休 8:00〜22:00)

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

竹内 省吾

経歴
慶應義塾大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2011)
弁護士登録(2012)
第一東京弁護士会・こども法委員会 委員(2020まで)
三田法曹会 会員
日本交通法学会 会員
東京都子供の権利擁護調査員(2020まで)
静岡県弁護士会 会員(2020から2023まで)
第一東京弁護士会 会員(2023)

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

成田 翼

経歴
明治大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2012)
弁護士登録(2013)
神奈川県弁護士会 所属
刑事弁護委員会 委員
三田法曹会 会員

コラム一覧へ戻る

お忙しい経営者様へ

オンライン・電話での
“弁護士無料相談”も可能です
まずはお電話よりご相談ください