商標登録の方法と費用|ブランドを守る手続きの流れを解説

  • 2026/6/11

自社の商品名やサービス名、ロゴマークを使い続けるために、商標登録は欠かせない手続きです。しかし、「商標登録の方法がわからない」「費用はどれくらいかかるのか」「自分で出願すべきか、専門家に依頼すべきか」と悩む経営者の方も多いのではないでしょうか。商標登録は、企業のブランドを法的に守る最も基本的な手段です。この記事では、商標登録の具体的な手続きの流れから費用相場、注意すべきポイントまで、中小企業の経営者に向けてわかりやすく解説します。

商標登録とは

商標登録とは、自社の商品やサービスに使用する名称・ロゴなどを特許庁に出願し、審査を経て登録することで、その商標を独占的に使用する権利(商標権)を取得する手続きです。

商標権を取得すると、以下の2つの権利が得られます。

  • 専用権: 登録した商標を、指定した商品・サービスについて独占的に使用できる権利
  • 禁止権: 登録商標と類似する商標を他者が使用することを禁止できる権利

商標権の存続期間は登録日から10年間ですが、更新手続きを行えば半永久的に権利を維持できます。ブランドの価値が高まるほど商標権の重要性も増すため、企業にとっては長期的な資産となります。

商標登録が必要な理由

日本の商標制度は「先願主義」を採用しています。つまり、同一または類似の商標について複数の出願があった場合、先に出願した者が権利を取得します。

たとえ自社が何年も使用してきたブランド名であっても、他社に先に商標登録されてしまうと、そのブランド名を使い続けることができなくなるリスクがあります。実際に、他社に商標を先に登録されたために、長年使用してきた商品名やサービス名の変更を余儀なくされるケースは少なくありません。

商標登録の流れ

商標登録は、以下の5つのステップで進めます。

ステップ1:事前調査

出願前に、同一または類似の商標がすでに登録されていないかを調査します。特許庁の「J-PlatPat」(特許情報プラットフォーム)で無料検索が可能です。

事前調査を怠ると、出願費用を払ったにもかかわらず審査で拒絶されるリスクがあります。類似商標の有無に加え、商標としての登録可能性(識別力があるか等)も確認しておくことが大切です。

ステップ2:区分の選択

商標登録では、その商標を使用する商品・サービスの「区分」を指定する必要があります。区分は第1類から第45類まであり、自社の事業内容に合った区分を正しく選択することが重要です。

区分の数が増えるほど出願費用も増加するため、現在の事業範囲だけでなく、将来の事業展開も見据えて適切な区分を選びましょう。

ステップ3:出願

願書を作成し、特許庁に提出します。出願方法には、紙で書類を提出する方法とインターネット出願(電子出願)の2種類があります。

ステップ4:審査

特許庁の審査官が、出願された商標が登録要件を満たしているかを審査します。審査には通常7か月〜1年程度かかります。拒絶理由が通知された場合は、意見書や補正書を提出して対応します。

ステップ5:登録

審査を通過すると「登録査定」が送付されます。登録料を納付することで、商標権が正式に発生します。

商標登録の費用相場

商標登録にかかる費用は、「特許庁に支払う費用(法定費用)」と「専門家への依頼費用」に分けられます。

特許庁に支払う費用(1区分の場合)

項目 費用
出願料 3,400円 + 8,600円 × 区分数 = 12,000円
登録料(10年一括) 32,900円 × 区分数 = 32,900円
合計 約44,900円

※ 登録料は5年分納も可能(17,200円×区分数)。

弁理士・弁護士に依頼した場合の費用

項目 費用目安
出願手数料 5万円〜15万円程度
成功報酬 0〜5万円程度
法定費用(実費) 上記の特許庁費用
合計(1区分) 約10万円〜20万円程度

自分で出願すれば法定費用のみで済みますが、区分の選択ミスや類似商標の見落としによる拒絶リスクを考えると、専門家への依頼をおすすめします。特に、ビジネスの根幹に関わるブランド名については、専門家に相談したうえで出願するのが安全です。

商標登録の注意点

1. 区分の選択を間違えない

商標権は指定した区分の範囲内でのみ効力を持ちます。たとえば飲食店のサービス名を登録する際に、飲食物の提供(第43類)だけでなく、テイクアウト商品(第30類等)の区分も検討する必要がある場合があります。事業の実態に合った区分を漏れなく選択することが重要です。

2. 識別力のない商標に注意

普通名称(商品の一般名称)や、商品の品質・産地を単に表示するだけの名称は、商標として登録できません。たとえば、「おいしいパン」をパン屋の商標として登録することは困難です。自社のブランド名に識別力があるか、事前に確認しておきましょう。

3. 使用しないと取り消されるリスク

登録商標を正当な理由なく3年以上使用していない場合、第三者から「不使用取消審判」を請求される可能性があります。登録後も継続して使用し、使用の証拠を保管しておくことが重要です。

4. 外国での商標登録も検討する

日本で商標登録しても、その効力は日本国内に限られます。海外での事業展開を計画している場合は、対象国での商標登録も別途検討する必要があります。

このような商標登録の判断でお悩みの場合は、早めに専門家へご相談されることをおすすめします。弁護士法人エースでは、経営者の視点に立った実践的なアドバイスを行っています。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

商標権侵害のリスクと対応

商標権は、取得するだけでなく、侵害への備えも重要です。

自社の商標が侵害された場合

他社が自社の登録商標と同一・類似の標章を無断で使用している場合、差止請求(使用の中止を求めること)や損害賠償請求が可能です。模倣品がインターネット上で販売されるケースも増えており、ECサイトへの削除申請などの対応も必要になることがあります。

他社の商標権を侵害してしまった場合

新しいブランド名やロゴを採用する際に、事前調査を行わずに他社の登録商標と類似してしまうケースがあります。他社から警告書が届いた場合は、すぐに専門家に相談し、使用中止や交渉などの適切な対応を取ることが大切です。

→ 侵害対応の詳しい手順については『知的財産権侵害への対応』をご覧ください。

弁護士に商標登録を相談するメリット

商標の出願手続き自体は弁理士(特許や商標の出願手続きを専門とする国家資格者)の専門分野ですが、弁護士に相談することで、出願手続き以外の幅広いサポートを受けることができます。

ブランド戦略全体のアドバイス

弁護士は、商標登録だけでなく、ブランドに関する契約書の作成(ライセンス契約、フランチャイズ契約等)や、不正使用への法的対応まで、ブランド保護全体を見据えたアドバイスが可能です。

特にフランチャイズ本部にとって、商標は加盟店にブランドを使用させるための最も重要な資産です。商標登録を含むFC本部構築の法務対応については『フランチャイズ本部の構築と法務|FC展開の手続きと注意点』で詳しく解説しています。

紛争対応の代理

商標権侵害に関する交渉や訴訟は、弁護士が代理人として対応できます。弁護士法人エースでは、複数の弁護士・パラリーガルによるチーム対応で、レスポンスの早さにも自信があります。LINEでの気軽な相談にも対応しており、「これは商標登録すべき?」といった段階からご相談いただけます。

→ 知的財産の弁護士費用については『知的財産の弁護士費用と相談先の選び方』もあわせてご覧ください。

まとめ

商標登録は、企業のブランドを法的に守る最も基本的な知財対策です。先願主義の日本では、自社のブランド名がいつ他社に登録されてもおかしくありません。費用も1区分であれば10万円〜20万円程度と、ブランドの価値を考えれば十分に投資に見合う金額です。

商標登録を検討する際のポイントは以下のとおりです。

  • 事前調査で類似商標の有無を確認する
  • 事業の実態に合った区分を漏れなく選択する
  • 出願から登録まで7か月〜1年程度かかるため、早めに着手する
  • 専門家に相談することで、拒絶リスクを軽減し、ブランド保護戦略を策定できる

→ 知的財産の企業法務全般については『知的財産の企業法務|中小企業の知財戦略と弁護士活用ガイド』をご覧ください。

弁護士法人エースでは、商標登録に関するご相談を初回無料でお受けしています。

  • 複数弁護士・パラリーガルによる迅速対応
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お問い合わせ
電話相談受付:0120-419-155(年中無休 8:00〜22:00)

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

竹内 省吾

経歴
慶應義塾大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2011)
弁護士登録(2012)
第一東京弁護士会・こども法委員会 委員(2020まで)
三田法曹会 会員
日本交通法学会 会員
東京都子供の権利擁護調査員(2020まで)
静岡県弁護士会 会員(2020から2023まで)
第一東京弁護士会 会員(2023)

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

成田 翼

経歴
明治大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2012)
弁護士登録(2013)
神奈川県弁護士会 所属
刑事弁護委員会 委員
三田法曹会 会員

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