依頼者▶︎Gさん 40代男性 コンビニ店長 月給30万円 

争点:管理監督者性、固定残業代制度の有効性、休憩時間の認定等

相談に至った経緯等
コンビニの店長として数年勤務していたGさんは、慢性的な人手不足もあり、ほとんど休憩も休暇も取れず働いていました。体調にも異常を感じるようになり、退職を決意し、これまでの残業代を請求できないかと考えました。

相談から解決まで
コンビニ側は、Gさんは店長なので管理監督者に当たり、残業代は発生しない、仮に発生するとしても200万円台程度であるとの主張を繰り返したため、交渉は決裂しました。
当事務所は、訴訟提起をし、Gさんは管理監督者にあたらず、また、店長手当や業務手当は基礎賃金に組み込むべきだと主張しました。また、人手不足によりほとんど休憩時間がなかったという主張をしました。
訴訟は数回の期日を重ね、両当事者とも主張を尽くしたところで、裁判所から和解勧告がありました。
まず、管理監督者性については、店長としての権限は、当該店舗内に限って与えられた権限にすぎず経営者と同一の立場を有するものではないとして、管理監督者にあたらないとの判断がされました。
そして、毎月10万円以上支払われていた店長手当につき、残業代の支払いに当てるとの合意もなく、仮に合意を認めたとしても、職責に対する手当も含まれていると考えられるがそれと残業代にあたる部分の区分ができないことから、これを基礎賃金に組み入れるものと判断されました。
また、休憩時間については、人手不足であったことや15時間を超える勤務時間の日があることから、休憩時間は契約の1時間未満であったと判断されました。
この結果、約700万円の支払い義務をコンビニ側に認める和解勧告が出されました。
相手はこれを呑み、和解にて決着しました。

解決のポイント
店長であるから残業代は発生しないとの思い込みから、当初は法律事務所への相談に消極的だったGさんでしたが、当事務所は、具体的な職務内容から管理監督者に当たらないと判断し、見通しを伝えることができました。ほぼ見通し通りの解決になり、Gさんにも納得いただきました。