売掛金の回収方法|未払い発生時の対応手順と進め方

  • 2026/6/11

「取引先への入金確認をしたら、期日を過ぎても支払われていない」——売掛金(未回収の代金)の未払いは、中小企業の資金繰りに直結する深刻な問題です。対応が遅れるほど回収は難しくなり、最悪の場合は回収不能に陥ることもあります。

一方で、「いきなり法的措置を取ると取引関係が壊れてしまうのでは」という不安を感じる経営者の方も多いでしょう。売掛金の回収は、段階的に手段を選びながら進めることが大切です。

この記事では、売掛金の未払いが発生した際に中小企業の経営者が取るべき対応手順を、初動対応から法的手段までステップごとに解説します。


売掛金の未払いが発生する主な原因

まずは、売掛金の未払いがなぜ発生するのかを理解しておきましょう。原因によって対応方法が異なるため、正確な原因の把握が効果的な回収の第一歩です。

取引先の資金繰り悪化

最も多い原因が、取引先の資金繰りの悪化です。「支払いたいが、今は手元にお金がない」という状態で、支払い意思はあるものの資金不足で対応できないケースです。このような場合は、分割払いの提案など柔軟な対応が有効なこともあります。

意図的な支払い拒否・先延ばし

「納品物に問題がある」「契約内容が違う」などの理由をつけて、意図的に支払いを拒否・先延ばしするケースもあります。この場合は、契約書や発注書などの証拠を確認し、毅然とした対応が必要です。

事務処理上のミス・失念

単純な経理処理の遅れや担当者の失念が原因であることも珍しくありません。請求書が届いていない、社内の承認が遅れているといった場合は、連絡するだけで解決するケースも多いです。

取引先の経営危機・倒産の兆候

支払い遅延が取引先の倒産や事業停止の前兆であることもあります。複数の債権者から取り立てを受けている状況では、早い者勝ちの面があります。このような兆候を感じたら、迅速な行動が重要です。


売掛金回収の基本的な流れ

売掛金の回収は、以下の4つのステップで段階的に進めるのが基本です。いきなり法的手段に踏み切るのではなく、取引関係への影響を考慮しながら、手段を順に強めていきます。

ステップ 方法 取引関係への影響 費用
Step 1 電話・メール・書面での催促 なし
Step 2 内容証明郵便の送付 数千円〜数万円
Step 3 法的手続き(支払督促・訴訟等) 数万円〜
Step 4 強制執行(差押え) 数万円〜

多くのケースでは、Step 1〜2の段階で解決に至ります。しかし、相手方が誠実に対応しない場合は、Step 3以降も視野に入れて準備を進めましょう。


自社でできる回収の実務対応

法的手続きに入る前に、まず自社で行える実務対応を確実に実行しましょう。

電話での催促

支払い遅延に気づいたら、まず電話で連絡を取りましょう。メールより電話が効果的な理由は、相手の反応を直接確認でき、状況をリアルタイムで把握できるためです。

電話での催促のポイント:

  • 最初の連絡は「確認」のスタンスで。「入金の確認が取れておりませんが、お手続きの状況はいかがでしょうか」
  • 支払期日、請求金額、取引内容を明確に伝える
  • 相手方の状況(資金繰りの問題か、事務ミスか)をヒアリングする
  • 具体的な支払予定日を確認し、口頭でも期日を約束してもらう
  • 通話内容はメモに残しておく(日時・相手方担当者名・内容)

書面(督促状)の送付

電話での催促後、約束の期日に支払いがない場合は、書面で正式に催促します。

督促状に記載すべき項目:

  • 請求金額と支払期日
  • 取引の内容(契約日、納品日、請求書番号など)
  • 支払いが確認できていない旨
  • 支払い期限(新たに設定)
  • 期限までに支払いがない場合の対応(法的手続きを検討する旨)

書面での催促は、後に法的手続きに進む場合の証拠としても機能します。配達証明付き郵便で送付し、相手に届いたことを記録に残しておきましょう。

相殺の検討

取引先に対して自社が支払うべき債務がある場合は、相殺(自社の債務と売掛金を差し引きで精算する方法)を検討しましょう。相殺は、相手方の同意がなくても、一方的な意思表示で行うことが可能です(民法505条)。

ただし、相殺を行う際は、相殺通知書を内容証明郵便で送付し、記録を残しておくことをおすすめします。

分割払いの提案と合意書の作成

相手方の資金繰りが一時的に悪化している場合は、分割払いに応じることも現実的な選択肢です。取引関係の維持を重視する場合には、特に有効な方法です。

分割払いの合意書に盛り込むべき条項:

  • 未払い総額の確認
  • 分割払いのスケジュール(金額・期日)
  • 遅延損害金の定め
  • 期限の利益喪失条項(分割払いの権利を失い、残額を一括請求できること):1回でも支払いを怠った場合に残額を一括請求できる条項
  • 連帯保証人(可能であれば)

重要なのは、口頭での約束にとどめず、必ず書面化することです。合意書を作成しておけば、後に法的手続きに進む際の重要な証拠になります。可能であれば公正証書として作成すると、裁判手続きを経ずに直接強制執行を申し立てることもできます。


内容証明郵便の活用

自社での催促で解決しない場合は、内容証明郵便(郵便局が内容を証明する郵便)の送付が次のステップです。

内容証明郵便には、心理的プレッシャー(法的手続きに進む意思の表明)、証拠の保全(いつ、何を請求したかの証明)、消滅時効の完成猶予(6か月間の猶予)という3つの効果があります。

特に、弁護士名義で送付する内容証明郵便は効果が大きく、これだけで支払いに応じるケースも少なくありません。「本気で法的手続きに進む準備がある」というメッセージが明確に伝わるためです。

→ 内容証明郵便の具体的な書き方や送付後の対応については「内容証明郵便で債権回収|書き方・効果・送付後の対応を解説」をご覧ください。


法的手段による回収

内容証明郵便を送っても支払いがない場合は、裁判所を利用した法的手続きへの移行を検討します。主な法的手段には、支払督促(裁判所を通じた支払い命令の申立て)、少額訴訟(60万円以下の債権を1回の期日で解決する手続き)、通常訴訟があります。

また、訴訟前に相手方の財産が散逸するリスクがある場合は、仮差押え(訴訟前に相手の財産を仮に差し押さえる手続き)も有効です。

どの手段を選ぶべきかは、債権額、相手方の対応、証拠の有無などによって異なります。この段階では弁護士への相談をおすすめします。

→ 各法的手続きの詳細は「支払督促・少額訴訟・民事訴訟の使い分け|債権回収の法的手続き」をご覧ください。

このような売掛金の未払いでお悩みの場合は、早めに専門家へご相談されることをおすすめします。弁護士法人エースでは、経営者の視点に立った実践的なアドバイスを行っています。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。


売掛金回収を成功させる5つのポイント

1. 早期対応が最も重要

売掛金回収で最も大切なのはスピードです。支払期日を1日でも過ぎたら、すぐに確認の連絡を入れましょう。「しばらく様子を見よう」と放置すると、相手方の財務状況がさらに悪化し、回収の難易度が上がります。

2. 証拠を確保・保全する

契約書、発注書、請求書、納品書、メールのやり取り、電話でのやり取りの記録など、取引に関する証拠を日頃から整理しておきましょう。法的手続きに進む際、これらの証拠が回収の成否を左右します。

3. 出荷・サービス提供を停止する

未払いが続いている取引先に対して、新たな商品の出荷やサービスの提供を続けることは、未回収リスクをさらに拡大させます。支払いが確認できるまでは、追加の取引を一時停止することも検討しましょう。

4. 消滅時効に注意する

債権には消滅時効(一定期間が経過すると権利が消滅する制度)があります。実務上は支払期日から5年が目安です。「いずれ払ってくれるだろう」と放置している間に時効が完成してしまうと、法的に請求する権利自体を失います。

5. 契約書を整備して再発を防止する

債権回収の問題が解決したら、同じ問題が再発しないよう契約書の見直しを行いましょう。期限の利益喪失条項遅延損害金の定め所有権留保条項(代金完済まで商品の所有権を留保する条項)などを契約書に盛り込むことで、未回収リスクを大幅に軽減できます。

→ 契約書の整備について詳しくは「契約書の作成・リーガルチェック|企業を守る契約書サポート」もご覧ください。


売掛金回収を弁護士に相談すべきタイミング

「弁護士に相談するのはまだ早い」と感じる経営者の方もいるかもしれません。しかし、以下のような状況に当てはまる場合は、早めの相談をおすすめします。

こんなときは弁護士に相談を

  • 自社での催促を2〜3回行っても反応がない:相手方が意図的に支払いを拒否している可能性が高い
  • 支払い期日から3か月以上が経過している:時間が経つほど回収率が下がる
  • 取引先の経営状況が悪化している兆候がある:他にも債権者がいる場合、早い者勝ちの面がある
  • 相手方が「払えない」と主張している:分割払い合意書の作成や法的対応の判断が必要
  • 債権額が100万円を超える:費用対効果を考えても弁護士への依頼が合理的

弁護士法人エースの強み

弁護士法人エースは、「経営者のパートナー」として債権回収をサポートいたします。

迅速な対応:債権回収はスピードが勝負です。複数弁護士・パラリーガルがチームで対応するため、ご相談から内容証明郵便の送付まで迅速に進められます。LINEでの気軽なご相談にも対応しており、「ちょっと支払いが遅れている」段階から早期にご相談いただけます。

経営者視点でのアドバイス:代表弁護士は複数法人の代表を兼任しており、経営者としての実体験を持っています。「法的に正しいが取引関係を壊す方法」ではなく、費用対効果や取引関係の維持も踏まえた最適な回収戦略をご提案します。

税務面もワンストップ対応:回収不能となった場合の貸倒損失の計上など、税務面のアドバイスもワンストップで対応可能です。所属弁護士は全員が通知税理士登録済みのため、法律と税務の両面からサポートいたします。


まとめ

売掛金の未払いが発生した場合は、以下の手順で段階的に対応を進めましょう。

  • Step 1:電話・メールでの催促(原因の確認、支払期日の再設定)
  • Step 2:書面(督促状)の送付、分割払いの合意書作成
  • Step 3:内容証明郵便の送付(弁護士名義が効果的)
  • Step 4:法的手続き(支払督促・訴訟)、強制執行

最も大切なのは早期対応です。支払い遅延に気づいたらすぐに動き出し、状況に応じて適切な手段を選択しましょう。また、回収後は契約書の見直しを行い、再発防止に努めることも重要です。

→ 債権回収の方法全般については「債権回収とは?方法・流れ・弁護士活用のポイントを解説」をご覧ください。

弁護士法人エースでは、売掛金回収に関するご相談を初回無料でお受けしています。

  • 複数弁護士・パラリーガルによる迅速対応
  • LINE・電話・メールでいつでも相談可能
  • 経営者のパートナーとして伴走

お問い合わせ
電話相談受付:0120-419-155(年中無休 8:00〜22:00)

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

竹内 省吾

経歴
慶應義塾大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2011)
弁護士登録(2012)
第一東京弁護士会・こども法委員会 委員(2020まで)
三田法曹会 会員
日本交通法学会 会員
東京都子供の権利擁護調査員(2020まで)
静岡県弁護士会 会員(2020から2023まで)
第一東京弁護士会 会員(2023)

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

成田 翼

経歴
明治大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2012)
弁護士登録(2013)
神奈川県弁護士会 所属
刑事弁護委員会 委員
三田法曹会 会員

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