依頼者▶︎ Tさん 50代男性 工場長

争点:管理監督者性、役職手当の性質、労働時間の管理実態

ご相談の経緯
Tさんは工場長という肩書きで勤務していましたが、会社からは「管理職だから残業代は支払わない」と言われていました。役職手当は付いていたものの、残業代の代わりとしては到底見合わない金額で、長時間労働が続いていました。「管理職と言われると、自分には請求する権利がないのかもしれない」と迷われてのご相談でした。

当事務所の対応
残業代の支払いが不要となる「管理監督者」に当たるかは、肩書きではなく実態で判断されます。当事務所は、(1) 採用・昇給・人事評価といった重要な決定権限は本社にあり、Tさん自身に経営に関わる権限がなかったこと、(2) 始業・終業の時刻が決められタイムカードで勤怠を管理されるなど、自分の労働時間に裁量がなかったこと、(3) 役職手当も実態としては基本給を名目上組み替えただけで、待遇面で実質的な上乗せになっていなかったこと——を、給与明細や勤務実態をもとに具体的に整理しました。一般の従業員と業務内容や賃金水準がほとんど変わらない点も指摘し、過去の裁判例にも照らして、Tさんは法律上の「管理監督者」には当たらないと判断しました。

結果
労働審判を申し立て、初回の期日で、請求額の大部分にあたる約300万円の解決金により調停が成立しました。早期かつ高い回収率での解決となりました。

解決のポイント
「管理職」「店長」「工場長」といった肩書きがあっても、実際の権限や働き方が伴っていなければ、残業代は請求できます。重要なのは、肩書きの名前ではなく、日々の業務の中身です。