誹謗中傷の損害賠償請求|企業が請求できる慰謝料・賠償金の相場

  • 2026/6/11

ネット上で誹謗中傷を受けた企業は、投稿者に対して損害賠償を請求できます。名誉毀損や信用毀損によって企業が被った損害の回復を図るための法的手段です。

企業が受ける誹謗中傷の損害賠償額は、個人の場合と比較して高額になる傾向があり、裁判例では50万円〜100万円程度が相場とされています。さらに、営業損害が立証できれば数百万円〜1,000万円を超える賠償が認められたケースもあります。

この記事では、企業が誹謗中傷の投稿者に対して損害賠償を請求する際の法的根拠、賠償金の相場、手続きの流れ、刑事告訴の選択肢まで詳しく解説します。


誹謗中傷で損害賠償請求できるケース

企業がネット上の誹謗中傷について損害賠償を請求できるのは、主に以下の3つの類型に該当する場合です。

名誉毀損

企業の社会的評価を低下させる事実を公然と示す行為が名誉毀損にあたります。

  • 「あの会社は違法な取引をしている」
  • 「あの会社の商品は欠陥だらけだ」
  • 「あの会社の社長は前科がある」

重要なのは「事実の摘示」があるかどうかです。具体的な事実を示して社会的評価を低下させている場合に、名誉毀損が成立します。

信用毀損

企業の経済的な信用を傷つける虚偽の情報を流す行為が信用毀損にあたります。

  • 「あの会社は倒産寸前だ」
  • 「あの会社は資金繰りに困っている」
  • 「あの会社の決算は粉飾だ」(虚偽の場合)

業務妨害

虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて企業の業務を妨害する行為が業務妨害にあたります。

  • 「あの店で食中毒が出た」(虚偽の場合)
  • 競合他社を貶めるための組織的な悪評投稿

損害賠償請求の法的根拠

民法709条(不法行為)

誹謗中傷による損害賠償請求の主な法的根拠は、民法709条の不法行為です。「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定められています。

請求できる損害の種類

企業が請求できる損害は、大きく以下の3つに分かれます。

損害の種類 内容 具体例
無形損害(慰謝料相当) 社会的評価の低下に対する損害 企業の名誉・信用の毀損に対する賠償
財産的損害 実際に発生した経済的損害 売上減少、取引停止、顧客離れによる逸失利益
弁護士費用 投稿者特定・訴訟にかかった費用 発信者情報開示請求にかかった弁護士費用の一部

損害賠償金・慰謝料の相場

企業の場合の相場

企業に対する誹謗中傷の損害賠償額は、裁判例をもとに以下のような相場感があります。

ケース 賠償額の目安
個人の名誉毀損(一般的なケース) 10万円〜50万円
企業の名誉毀損(ネット投稿) 50万円〜100万円
企業への営業損害が立証できた場合 数百万円〜1,000万円超
マスメディアによる大規模な報道被害 1,000万円超の事例あり

賠償額に影響する要素

損害賠償額は、以下の要素によって変動します。

  • 投稿の悪質性:繰り返しの投稿、虚偽性の程度、投稿者の悪意の有無
  • 拡散の程度:閲覧数、拡散の範囲、メディアへの波及
  • 企業への具体的な損害:売上減少額、契約解除の有無、採用への影響
  • 投稿者の属性:従業員・退職者か、顧客か、競合他社か

弁護士費用の損害としての請求

発信者情報開示請求にかかった弁護士費用は、損害賠償の一部として投稿者に請求できる可能性があります。裁判例では、認容された損害賠償額の概ね10%程度が弁護士費用として認められる傾向にあります。

→ 投稿者の特定手続きについては「発信者情報開示請求の流れと費用」で解説しています。


損害賠償請求の手続きの流れ

ステップ1:投稿者の特定

匿名の投稿者に対して損害賠償を請求するためには、まず投稿者を特定する必要があります。発信者情報開示請求によって投稿者の氏名・住所を取得します。

ステップ2:示談交渉

投稿者が特定できたら、まずは裁判外での示談交渉を試みるのが一般的です。

示談交渉のメリットは、裁判よりも短期間で解決できる可能性があることです。また、示談金額には法的な上限がないため、双方が合意すれば裁判の相場を上回る金額で解決できることもあります。

弁護士を通じて交渉することで、冷静かつ法的根拠に基づいた話し合いが可能になります。

ステップ3:訴訟(裁判)

示談交渉がまとまらない場合は、損害賠償請求訴訟を提起します。

訴訟では、以下の事項を主張・立証する必要があります。

  • 投稿が権利侵害に該当すること
  • 投稿者に故意または過失があること
  • 企業に損害が発生したこと
  • 投稿と損害の間に因果関係があること

訴訟には6か月〜1年程度の期間を要するのが一般的です。

このような誹謗中傷による損害でお悩みの場合は、早めに専門家へご相談されることをおすすめします。弁護士法人エースでは、経営者の視点に立った実践的なアドバイスを行っています。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。


刑事告訴という選択肢

損害賠償請求(民事手続き)とは別に、悪質な誹謗中傷については刑事告訴も選択肢になります。

対象となる罪名

罪名 条文 法定刑
名誉毀損罪 刑法230条 3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金
侮辱罪 刑法231条 1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料
信用毀損罪 刑法233条 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
業務妨害罪 刑法233条・234条 3年以下の懲役または50万円以下の罰金

刑事告訴のメリット

  • 強い抑止効果:刑事罰のリスクは投稿者にとって大きなプレッシャーになる
  • 捜査機関による調査:警察の捜査権限を活用できる(民事では得られない証拠収集が可能)
  • 示談交渉の促進:刑事手続きと並行することで、示談がまとまりやすくなるケースがある

刑事告訴の注意点

名誉毀損罪と侮辱罪は「親告罪」であり、被害者が告訴しなければ起訴されません。告訴期限は犯人を知った日から6か月以内ですので、期限の管理が重要です。

→ 削除請求の方法については「ネット誹謗中傷の削除請求」で解説しています。


弁護士に依頼するメリットと費用

示談交渉での効果

弁護士が代理人として交渉することで、感情的な対立を避け、法的根拠に基づいた冷静な話し合いが可能になります。投稿者側も弁護士から連絡があることで事態の深刻さを認識し、示談に応じやすくなる傾向があります。

訴訟での立証支援

損害賠償請求訴訟では、権利侵害と損害の因果関係の立証が鍵になります。特に企業の場合、売上減少と誹謗中傷の因果関係を立証するためには、専門的な証拠収集と法的主張の構成が必要です。

弁護士費用の目安

手続き 費用目安
示談交渉 着手金10万円〜20万円 + 成功報酬(回収額の10〜20%程度)
訴訟 着手金20万円〜30万円 + 成功報酬(回収額の10〜20%程度)

弁護士法人エースでは、複数の弁護士とパラリーガルがチームで対応する「複数担当制」を採用しています。また、LINEで担当弁護士に直接相談できるため、「この投稿で損害賠償は請求できるか?」といった疑問にも迅速にお答えします。


まとめ

企業が誹謗中傷の投稿者に損害賠償を請求するためのポイントは以下の3点です。

  1. 投稿者の特定が前提:発信者情報開示請求で投稿者を特定してから請求
  2. 企業の賠償額は個人より高額になる傾向:相場は50万円〜100万円、営業損害があればさらに高額
  3. 示談交渉と訴訟の使い分け:まず示談交渉、まとまらなければ訴訟へ

→ 誹謗中傷対策の全体像については「企業の誹謗中傷対策」をご覧ください。

弁護士法人エースでは、誹謗中傷の損害賠償請求に関するご相談を初回無料でお受けしています。

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電話相談受付:0120-419-155(年中無休 8:00〜22:00)

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

竹内 省吾

経歴
慶應義塾大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2011)
弁護士登録(2012)
第一東京弁護士会・こども法委員会 委員(2020まで)
三田法曹会 会員
日本交通法学会 会員
東京都子供の権利擁護調査員(2020まで)
静岡県弁護士会 会員(2020から2023まで)
第一東京弁護士会 会員(2023)

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

成田 翼

経歴
明治大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2012)
弁護士登録(2013)
神奈川県弁護士会 所属
刑事弁護委員会 委員
三田法曹会 会員

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