企業の誹謗中傷対策|ネット上の風評被害から会社を守る方法

  • 2026/6/11

「Googleマップに事実無根の口コミが書き込まれた」「退職した元従業員がSNSで会社の悪口を拡散している」——ネット上の誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)は、企業の信用を一瞬で傷つけ、売上低下や採用難など深刻な経営リスクをもたらします。

企業が誹謗中傷の被害を受けた場合、泣き寝入りする必要はありません。削除請求や発信者情報開示請求といった法的手段を講じることで、投稿の削除や投稿者の特定、さらには損害賠償の請求が可能です。

この記事では、企業が誹謗中傷を受けた際の対応フローから、具体的な法的措置、予防策までを弁護士の視点で体系的に解説します。「何から手を付ければいいかわからない」という経営者の方は、ぜひ最後までお読みください。


企業が受ける誹謗中傷とは

誹謗中傷とは、根拠のない内容で他者の名誉や信用を傷つける行為を指します。企業に対する誹謗中傷は、法律上「名誉毀損(めいよきそん)」や「信用毀損」「業務妨害」に該当する可能性があります。

名誉毀損と信用毀損の違い

名誉毀損は、企業の社会的評価を低下させる事実を公然と示す行為です。たとえば「あの会社は違法な取引をしている」といった投稿が該当します。

一方、信用毀損は、企業の経済的な信用を傷つける行為です。「あの会社は経営が危ない」「倒産寸前だ」といった虚偽の情報を流す行為がこれにあたります。

企業が被害を受けやすい場面

企業への誹謗中傷は、主に以下のような場面で発生します。

  • Googleマップ・口コミサイトへの悪質な書き込み:事実と異なる低評価や虚偽の体験談
  • SNS(X・Instagram等)での拡散:従業員や顧客によるネガティブ投稿の拡散
  • 転職サイト・企業口コミサイトへの投稿:退職者による事実に基づかない内部情報の暴露
  • 匿名掲示板への書き込み:5ちゃんねる等での根拠のない誹謗中傷

→ 口コミ・レビューへの具体的な対応については「口コミ・レビューの誹謗中傷対策」をご覧ください。


誹謗中傷を受けた場合の対応フロー

企業が誹謗中傷を発見した場合、以下の4ステップで対応を進めます。初動の速さが被害の拡大を防ぐポイントです。

ステップ1:証拠の保全

最初に行うべきは、投稿のスクリーンショットを撮影し、URL・投稿日時とともに記録することです。投稿が削除されてしまうと、後の法的手続きに支障をきたす可能性があります。

ステップ2:削除請求

証拠を保全したら、サイト管理者やプラットフォーム運営者に対して投稿の削除を求めます。任意の削除依頼で対応してもらえない場合は、裁判所への仮処分申立てを検討します。

→ 削除請求の具体的な手続きについては「ネット誹謗中傷の削除請求」で詳しく解説しています。

ステップ3:発信者の特定(発信者情報開示請求)

匿名の投稿者に法的責任を追及するためには、まず投稿者を特定する必要があります。発信者情報開示請求は、プロバイダに対して投稿者の情報(氏名・住所等)の開示を求める手続きです。

なお、ISP(インターネットサービスプロバイダ)のアクセスログの保存期間は一般的に3〜6か月とされるため、迅速な対応が求められます。

→ 投稿者を特定する手続きの詳細は「発信者情報開示請求の流れと費用」をご覧ください。

ステップ4:法的措置(損害賠償・刑事告訴)

投稿者が特定できたら、損害賠償請求や刑事告訴といった法的措置を検討します。

→ 損害賠償請求については「誹謗中傷の損害賠償請求」で詳しく解説しています。


削除請求の方法

誹謗中傷の投稿を削除するには、大きく分けて3つの方法があります。

方法 概要 費用目安
サイト管理者への任意請求 運営者に直接削除を依頼 無料〜数万円
ガイドラインに基づく請求 テレコムサービス協会のガイドラインに沿って請求 無料~数万円
裁判所への仮処分申立て 裁判所を通じて削除命令を取得 30万円〜50万円程度

任意の請求で対応してもらえるケースもありますが、匿名掲示板や海外サーバーのサイトでは裁判手続きが必要になることも少なくありません。

→ 削除請求の詳しい手続きと費用は「ネット誹謗中傷の削除請求」をご覧ください。


発信者の特定と法的措置

発信者情報開示請求

匿名の投稿者を特定するための法的手続きが「発信者情報開示請求」です。2022年のプロバイダ責任制限法改正(現・情報流通プラットフォーム対処法)により、従来は2段階の裁判手続きが必要だったものが、1回の「発信者情報開示命令」で完結できる新制度が導入されました。

さらに2025年4月には情報流通プラットフォーム対処法が全面施行され、大規模プラットフォーム事業者に対して迅速な削除対応や運用の透明化が義務づけられています。

損害賠償請求

投稿者が特定できた場合、民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求が可能です。企業の場合、個人と比較して損害額が大きくなる傾向があります。

→ 賠償金の相場や手続きについては「誹謗中傷の損害賠償請求」で詳しく解説しています。

刑事告訴

悪質な誹謗中傷については、名誉毀損罪(刑法230条)、信用毀損罪(刑法233条)、業務妨害罪(刑法233条・234条)での刑事告訴も選択肢のひとつです。刑事事件として捜査が進むことで、民事では得られない抑止効果が期待できます。


従業員・退職者からの誹謗中傷

企業への誹謗中傷は、社外の第三者だけでなく、現在の従業員や退職者から行われるケースも多くみられます。

在職中の従業員については、就業規則に基づく指導や懲戒処分で対応することが基本です。退職者については、退職後の秘密保持義務や誓約書の有無がポイントになります。

いずれの場合も、感情的な対応は逆効果です。法的根拠に基づいた冷静な対応が、問題の早期解決につながります。

→ 従業員・退職者への対応の詳細は「従業員・退職者による誹謗中傷への対応」で解説しています。


誹謗中傷を未然に防ぐために

誹謗中傷への対応は「起きてから対処する」だけでは不十分です。予防のための体制を整備しておくことが、経営リスクの軽減につながります。

  • SNSポリシーの策定:従業員向けのSNS利用ガイドラインを作成し、周知徹底する
  • 就業規則の整備:秘密保持義務やSNS利用に関する規定を盛り込む
  • モニタリング体制の構築:口コミサイトやSNSを定期的にチェックし、問題投稿を早期発見する
  • 退職時の誓約書:秘密保持や競業避止に関する誓約書を取得する

→ 予防策の詳細は「企業の風評被害を予防する方法」をご覧ください。

このようなネット上の誹謗中傷や風評被害でお悩みの場合は、弁護士法人エースにお気軽にご相談ください。経験豊富な弁護士が、経営者の視点に立って最適な解決策をご提案いたします。


弁護士に依頼するメリット

誹謗中傷への対応は、初動のスピードが被害の拡大を防ぐ鍵を握ります。弁護士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。

迅速かつ的確な初動対応

ISPのアクセスログは一般的に3〜6か月で消去されるため、投稿者を特定するにはスピーディーな対応が欠かせません。弁護士に依頼すれば、証拠保全から法的手続きの着手まで、無駄のない初動対応が可能です。

複数担当制による安心のサポート

弁護士法人エースでは、複数の弁護士とパラリーガルがチームで対応する「複数担当制」を採用しています。担当弁護士が不在でもレスポンスが途切れないため、誹謗中傷のような緊急性の高い問題にも迅速に対応できます。

LINEでの気軽な相談

「この投稿は法的に対応できるのか?」——弁護士法人エースでは、LINEで担当弁護士に直接相談できます。わざわざ予約を取って事務所に出向く必要はなく、気になる投稿を見つけたその場で相談できるのが大きな強みです。

労務問題との連動

従業員や退職者による誹謗中傷は、労務問題と密接に関連します。弁護士法人エースはグループ内に社労士法人を保有しているため、誹謗中傷への法的対応と就業規則の整備・懲戒処分の実務対応まで一貫してサポートできます。

→ 顧問弁護士による継続的なサポートについては「顧問弁護士とは?」をご覧ください。


まとめ

ネット上の誹謗中傷は、企業の信用・売上・採用に直接的な打撃を与えます。被害を最小限に抑えるために重要なのは、以下の3点です。

  1. 証拠の保全と迅速な初動対応:スクリーンショットの保存、早期の削除請求
  2. 法的措置の活用:発信者情報開示請求、損害賠償請求、刑事告訴
  3. 予防体制の整備:SNSポリシー、就業規則の見直し、モニタリング体制の構築

「これは放っておいても大丈夫だろうか」と少しでも不安を感じたら、早めに弁護士に相談することが最善の対策です。

弁護士法人エースでは、誹謗中傷・風評被害に関するご相談を初回無料でお受けしています。LINE・電話・メールでお気軽にお問い合わせください。経営者のパートナーとして、紛争予防から解決まで一貫してサポートいたします。

お問い合わせ
電話相談受付:0120-419-155(年中無休 8:00〜22:00)

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

竹内 省吾

経歴
慶應義塾大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2011)
弁護士登録(2012)
第一東京弁護士会・こども法委員会 委員(2020まで)
三田法曹会 会員
日本交通法学会 会員
東京都子供の権利擁護調査員(2020まで)
静岡県弁護士会 会員(2020から2023まで)
第一東京弁護士会 会員(2023)

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

成田 翼

経歴
明治大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2012)
弁護士登録(2013)
神奈川県弁護士会 所属
刑事弁護委員会 委員
三田法曹会 会員

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