ネット誹謗中傷の削除請求|企業が投稿を削除する方法と手続きの流れ

  • 2026/6/11

「Googleマップに事実無根の悪評が書かれている」「匿名掲示板で根拠のない誹謗中傷が拡散されている」——ネット上の悪質な投稿を放置すれば、企業の信用低下や顧客離れ、さらには採用活動にまで悪影響を及ぼします。

しかし、企業には誹謗中傷の投稿を削除するための法的手段があります。サイト管理者への任意の削除依頼から、テレコムサービス協会のガイドラインに基づく送信防止措置請求、裁判所への仮処分申立てまで、状況に応じた方法を選択できます。

この記事では、企業がネット上の誹謗中傷を削除するための3つの方法、プラットフォーム別の対応手順、費用・期間の目安まで詳しく解説します。


ネット誹謗中傷の削除請求とは

削除請求とは、インターネット上に掲載された権利侵害情報(名誉毀損・信用毀損・プライバシー侵害等)について、サイト管理者やプラットフォーム運営者に対して投稿の削除を求める手続きです。法律上は「送信防止措置請求」と呼ばれます。

削除請求の法的根拠

削除請求の根拠となるのは、主に以下の法律です。

  • 情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法):サイト管理者が権利侵害情報の送信を防止する措置をとった場合の免責を定め、被害者が削除を請求できる仕組みを整備
  • 民法:不法行為(709条)に基づく差止請求として、人格権侵害の排除を求める
  • 人格権に基づく差止請求権:判例上認められた権利として、名誉権やプライバシー権の侵害に対して削除を求めることが可能

削除できる投稿の基準

すべてのネガティブな投稿が削除の対象になるわけではありません。削除が認められるのは、主に以下のケースです。

  • 事実と異なる内容で企業の社会的評価を低下させている(名誉毀損)
  • 虚偽の情報で企業の経済的信用を損なっている(信用毀損)
  • 業務を妨害する目的で虚偽の風説を流布している(業務妨害)

一方で、正当な批判や意見にとどまる投稿は、表現の自由の観点から削除が認められない可能性があります。「対応が悪かった」「料金が高いと感じた」といった主観的な感想は、原則として削除の対象にはなりにくい点に注意が必要です。


削除請求の3つの方法

企業がネット上の誹謗中傷を削除するには、以下の3つの方法があります。

方法1:サイト管理者への任意の削除依頼

最もシンプルな方法は、サイトやプラットフォームの運営者に対して直接削除を依頼する方法です。

多くのサイトには「通報フォーム」「お問い合わせフォーム」が設置されており、そこから削除を依頼できます。費用がかからず手軽に実行できる反面、管理者が削除に応じるかどうかは運営者の判断に委ねられます。

ポイント:削除依頼の際は、「どの投稿が」「なぜ権利を侵害しているのか」を具体的に説明することが重要です。漠然と「削除してほしい」と伝えるだけでは対応してもらえないケースが多くみられます。

方法2:送信防止措置依頼書の送付

テレコムサービス協会のガイドライン(「プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」)に基づいて、正式な書面で削除を請求する方法です。

送信防止措置依頼書を受け取ったサイト管理者は、原則として投稿者に対して「削除に同意するか」を照会し、7日以内に反対する旨の回答がなければ削除できる仕組みになっています。

手続きの流れ
1. 対象の投稿をスクリーンショット等で証拠保全する
2. 送信防止措置依頼書を作成する(総務省の書式あり)
3. サイト管理者に書面を送付する
4. 管理者が投稿者に照会(7日間)
5. 投稿者から同意または無回答であれば削除

この方法は弁護士に依頼して行うのが一般的です。弁護士名義で正式に請求することで、管理者が真摯に対応する可能性が高まります。

方法3:裁判所への仮処分申立て

任意の請求では削除に応じてもらえない場合や、海外法人が運営するサービス(Google、X等)の場合は、裁判所に削除の仮処分を申し立てる方法があります。

裁判所が「権利が侵害されたことが明白であること」(被保全権利の存在)と「削除の必要性」(保全の必要性)を認めれば、サイト管理者に対する削除命令が発令されます。

手続きの流れ
1. 管轄裁判所に仮処分命令申立書を提出
2. 裁判所による審尋(双方の主張を聴取)
3. 裁判所が削除を認めれば、担保金の供託
4. 仮処分命令の発令
5. サイト管理者が削除を実行


プラットフォーム別の削除手順

誹謗中傷の削除手順は、プラットフォームによって異なります。代表的なサービスごとのポイントを紹介します。

Googleマップの口コミ

Googleマップの口コミは、Googleのポリシーに違反する内容であれば、Google側に報告することで削除される可能性があります。報告はGoogleビジネスプロフィールの管理画面から行えます。

ただし、Googleが削除に応じないケースも多く、その場合は裁判所への仮処分申立てを検討する必要があります。Google LLCは米国法人のため、東京地方裁判所に申し立てを行うのが一般的です。

X(旧Twitter)

Xでは、投稿の「報告」機能から通報できます。名誉毀損やプライバシー侵害に該当する場合、X社のポリシーに基づいてアカウント凍結や投稿削除が行われることがあります。

任意削除に応じない場合は、X Corp.(旧Twitter, Inc.)を相手方とする仮処分を申し立てます。

5ちゃんねる等の匿名掲示板

匿名掲示板は、削除依頼専用のフォームや板が設けられている場合があります。ただし、運営の対応は不安定であることが多く、弁護士を通じた送信防止措置依頼書の送付や、裁判所を通じた手続きが必要になるケースが多いのが実情です。

転職サイト・企業口コミサイト

OpenWorkやライトハウスなどの企業口コミサイトには、各サイトの利用規約に基づく報告制度があります。事実に反する内容や、個人を特定できる情報の公開については、削除が認められることがあります。

→ プラットフォームごとの詳しい対策は「口コミ・レビューの誹謗中傷対策」もご覧ください。


削除請求の費用と期間

削除請求にかかる費用と期間は、方法によって大きく異なります。

方法 費用目安 期間目安
自分でサイトに削除依頼 無料 数日〜数週間
送信防止措置依頼書(弁護士依頼) 5万円〜15万円程度 2週間〜1か月程度
裁判所への仮処分申立て 30万円〜50万円程度(弁護士費用)+ 担保金(10万円〜30万円程度) 1か月〜3か月程度

なお、裁判所に供託する担保金は、手続き終了後に返還される場合がほとんどです。

費用対効果の考え方:弁護士費用を高いと感じるかもしれませんが、誹謗中傷を放置した場合の売上低下・顧客離れ・採用難といった経営への影響と比較すると、早期に法的対応を行うことが結果的にコストを抑えることにつながります。

このようなネット上の誹謗中傷でお悩みの場合は、早めに専門家へご相談されることをおすすめします。弁護士法人エースでは、経営者の視点に立った実践的なアドバイスを行っています。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。


削除請求が認められないケース

削除請求を行っても、以下のようなケースでは削除が認められない可能性があります。

正当な批判・意見の表明

「サービスの対応が遅かった」「料金に見合わないと感じた」といった主観的な意見や感想は、表現の自由として保護される可能性があります。事実の摘示を伴わない否定的な意見は、名誉毀損には該当しにくいためです。

公益性・公共性が認められる場合

企業の違法行為や消費者被害に関する情報は、たとえ企業の評価を低下させるものであっても、公益目的で真実に基づく情報提供であれば、違法性が否定されることがあります。

投稿者の反論が認められた場合

送信防止措置依頼の手続きでは、投稿者に対して7日間の照会期間が設けられます。投稿者が「事実である」と反論し、管理者がその主張を認めた場合は、削除されないことがあります。この場合は、裁判手続きへの移行を検討することになります。


弁護士に削除請求を依頼するメリット

削除の成功率が高まる

弁護士は法的根拠を明確にしたうえで削除請求を行うため、サイト管理者が削除に応じる可能性が高まります。特に送信防止措置依頼書は、弁護士名義で送付することで真摯に受け止められる傾向があります。

迅速な対応が可能

誹謗中傷は時間が経つほど拡散し、被害が拡大します。弁護士に依頼すれば、証拠保全から削除請求まで、無駄のないスピーディーな対応が可能です。

弁護士法人エースでは、複数の弁護士とパラリーガルがチームで対応する「複数担当制」を採用しており、担当者不在でも迅速なレスポンスを維持できます。

削除後の法的措置への対応

削除請求と並行して、投稿者の特定(発信者情報開示請求)や損害賠償請求を進めることも可能です。弁護士が全体の戦略を見据えて対応することで、一貫した法的措置を効率よく進められます。

→ 投稿者を特定する手続きについては「発信者情報開示請求の流れと費用」で詳しく解説しています。

LINEで気軽に相談できる

弁護士法人エースでは、LINEで担当弁護士に直接相談できます。「この投稿は削除できるのか?」といった初期判断を、気になったそのタイミングで確認できるのは、経営者にとって大きな安心材料です。


まとめ

ネット上の誹謗中傷を削除するには、以下の3つの方法があります。

  1. サイト管理者への任意の削除依頼:費用ゼロで手軽だが、対応は管理者次第
  2. 送信防止措置依頼書の送付:法的根拠に基づく正式な手続き。弁護士依頼が効果的
  3. 裁判所への仮処分申立て:任意で対応されない場合の最終手段。確実性が高い

いずれの方法でも、証拠保全(スクリーンショット・URL・日時の記録)を最優先で行うことが鉄則です。投稿が削除されてしまうと、後の法的手続きに支障をきたす可能性があります。

→ 誹謗中傷対策の全体像については「企業の誹謗中傷対策」をご覧ください。

弁護士法人エースでは、誹謗中傷の削除請求に関するご相談を初回無料でお受けしています。

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電話相談受付:0120-419-155(年中無休 8:00〜22:00)

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

竹内 省吾

経歴
慶應義塾大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2011)
弁護士登録(2012)
第一東京弁護士会・こども法委員会 委員(2020まで)
三田法曹会 会員
日本交通法学会 会員
東京都子供の権利擁護調査員(2020まで)
静岡県弁護士会 会員(2020から2023まで)
第一東京弁護士会 会員(2023)

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

成田 翼

経歴
明治大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2012)
弁護士登録(2013)
神奈川県弁護士会 所属
刑事弁護委員会 委員
三田法曹会 会員

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