会社設立の流れと手続き|株式会社・合同会社の違いと選び方

  • 2026/6/11

「会社を設立したい」と思ったとき、どこから手をつければよいのか分からないという方は多いのではないでしょうか。会社設立の流れや手続きは、インターネットで調べれば基本的な情報は得られます。しかし、会社設立は「登記して終わり」ではありません

設立時に決めた事項は、その後の経営に大きな影響を与えます。特に、定款の内容や株主構成は、将来的なトラブルの原因となることも少なくありません。弁護士の視点から見ると、設立段階での法務リスクチェックこそが、安定した会社経営の第一歩といえます。

この記事では、会社設立の流れと手続きを6つのステップで分かりやすく解説します。また、株式会社と合同会社の違いや、弁護士に依頼するメリットについてもご紹介します。


会社設立の全体の流れ(6ステップ)

法人設立の手順は、大きく分けて以下の6つのステップで進みます。一つひとつ確実に進めていきましょう。

ステップ1:基本事項の決定

会社設立の第一歩は、会社の基本事項を決めることです。具体的には、以下の項目を決定します。

  • 商号(会社名):同一住所に同一の商号がないか確認が必要です
  • 事業目的:将来的に行う可能性のある事業も含めて記載します
  • 本店所在地:登記簿に記載される住所を決定します
  • 資本金:1円から設立可能ですが、取引先の信用や融資審査を考慮して決定します
  • 事業年度:決算期を何月にするか決めます
  • 発起人・出資者:誰がいくら出資するかを決定します
  • 役員構成:代表取締役、取締役、監査役などを決めます

【弁護士からのアドバイス】

基本事項の決定段階で特に注意すべきは、出資比率です。例えば、友人や知人と50:50で出資する場合、将来的に意見が対立したときに「デッドロック」と呼ばれる膠着状態に陥るリスクがあります。出資比率の設計は、会社のガバナンスに直結する重要な決定事項です。

ステップ2:印鑑の作成

会社設立には、以下の印鑑が必要です。

  • 会社実印(代表者印):登記申請時に届け出る印鑑。最も重要な印鑑です
  • 銀行印:法人口座開設時に届け出る印鑑
  • 角印(社印):請求書や領収書などに使用する印鑑

印鑑の作成には数日かかる場合があるため、早めに手配しておくことをおすすめします。最近ではオンラインで注文できるサービスも増えており、即日発送に対応している業者もあります。

ステップ3:定款の作成

定款は「会社の憲法」とも呼ばれる重要な文書です。会社の基本ルールを定めたもので、会社設立の手続きにおいて最も重要な書類といえます。

定款に記載する事項は、大きく3種類に分かれます。

種類 内容
絶対的記載事項 必ず記載しなければならない事項。記載がないと定款自体が無効 商号、事業目的、本店所在地、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、発起人の氏名・住所
相対的記載事項 定款に記載しないと効力が生じない事項 株式譲渡制限、取締役会の設置、監査役の設置など
任意的記載事項 記載は任意だが、記載すると変更に定款変更手続きが必要 事業年度、役員の員数、株主総会の招集時期など

【弁護士からのアドバイス】

多くの方は、定款のひな型をそのまま使用しがちです。しかし、相対的記載事項をどう設計するかは、会社の将来を左右する重要なポイントです。例えば、株式譲渡制限の規定や、取締役会・監査役の設置有無は、会社の規模や事業内容に応じて戦略的に決定すべきです。

ステップ4:定款の認証(株式会社のみ)

株式会社を設立する場合、作成した定款を公証役場で認証してもらう必要があります。これは、定款の内容が法律に適合していることを公証人が証明する手続きです。

定款認証の方法は、以下の3つがあります。

  1. 紙の定款:印紙代4万円+認証手数料(資本金額に応じて1.5〜5万円)
  2. 電子定款:印紙代不要+認証手数料(資本金額に応じて1.5〜5万円)
  3. オンライン申請:電子定款をオンラインで申請する方法

電子定款を利用すれば、4万円の印紙代を節約できます。ただし、電子定款の作成には電子証明書やPDF作成ソフトなどが必要なため、専門家に依頼するケースが多いです。

なお、合同会社の場合は定款認証が不要です。これは、合同会社の設立費用が株式会社より安い理由の一つです。

ステップ5:資本金の払込み

定款認証が完了したら(合同会社は定款作成後)、発起人の個人口座に資本金を払い込みます。この時点ではまだ会社が存在しないため、法人口座は開設できません。

払込みの注意点

  • 発起人の個人口座(代表者の口座が一般的)に振り込む
  • 通帳の表紙、見開き1ページ目、振込が記帳されたページのコピーが必要
  • 払込みは定款認証日以降に行う必要がある
  • 振込名義人が発起人の氏名と一致していること

ステップ6:登記申請

必要書類を揃えて、本店所在地を管轄する法務局に設立登記を申請します。

必要書類(株式会社の場合)

  • 設立登記申請書
  • 登録免許納付用台紙
  • 定款(認証済み)
  • 発起人の決定書
  • 設立時代表取締役の就任承諾書
  • 設立時取締役の就任承諾書
  • 設立時取締役の印鑑証明書
  • 印鑑届書
  • 資本金の払込みを証する書面
  • 登記すべき事項を記載した書面

登記申請日が会社の設立日となります。大安や記念日など、設立日にこだわりがある場合は、申請日を調整しましょう。


株式会社と合同会社の違い

会社設立を検討する際、株式会社と合同会社のどちらを選ぶべきか迷う方は多いです。それぞれの特徴を比較してみましょう。

項目 株式会社 合同会社
設立費用(実費) 約20〜25万円 約6〜10万円
定款認証 必要 不要
登録免許税 最低15万円 最低6万円
出資者の呼称 株主 社員
代表者の肩書 代表取締役 代表社員
意思決定 株主総会・取締役会 社員の過半数
利益配分 出資比率に応じる 定款で自由に決定可能
役員の任期 最長10年(非公開会社) 任期なし
決算公告 必要 不要
社会的信用 高い 株式会社より低い傾向

株式会社を選ぶべきケース

  • 将来的に上場を目指す場合
  • 投資家からの資金調達を予定している場合
  • 取引先の信用を重視する業種(BtoB、建設業、金融関連など)
  • 優秀な人材の採用を重視する場合

株式会社は、社会的な認知度と信用度が高いため、取引先や金融機関からの信頼を得やすいメリットがあります。

合同会社を選ぶべきケース

  • 設立費用を抑えたい場合
  • 少人数で迅速に意思決定したい場合
  • 利益配分を柔軟に設計したい場合
  • 役員変更登記のコストを抑えたい場合

合同会社は、アマゾンジャパンやアップルジャパンなど、大手外資系企業の日本法人でも採用されています。BtoC事業や、会社名が表に出にくい事業では、合同会社でも十分という判断もあり得ます。


発起設立と募集設立の違い

株式会社の設立方法には、発起設立募集設立の2種類があります。

発起設立の特徴

発起設立とは、発起人のみが設立時発行株式のすべてを引き受ける設立方法です。

  • 発起人だけで出資を完結させる
  • 手続きがシンプルで迅速
  • 中小企業の99%以上が発起設立を採用

ほとんどのケースで発起設立が選択されます。この記事で解説している手続きも、発起設立を前提としています。

募集設立が必要なケース

募集設立とは、発起人以外からも株式引受人を募集する設立方法です。

  • 大規模な資金を集めて設立する場合
  • 設立時から多数の株主を想定する場合
  • 創業株主総会の開催が必要
  • 手続きが複雑で時間がかかる

実務上、募集設立が採用されるケースは非常に稀です。設立時に多額の資金が必要な場合でも、まず発起設立で会社を設立し、その後に増資(第三者割当増資など)で資金を集める方法が一般的です。


会社設立に必要な期間

会社設立の手続きには、どの程度の期間がかかるのでしょうか。目安を把握しておきましょう。

株式会社:約2週間

株式会社の設立は、スムーズに進んだ場合で約2週間が目安です。

  • 基本事項の決定・印鑑作成:3〜5日
  • 定款作成・認証:3〜5日
  • 資本金払込み・登記申請:1〜2日
  • 登記完了:申請から約1週間

合同会社:約1週間

合同会社は定款認証が不要なため、約1週間で設立できます。

  • 基本事項の決定・印鑑作成:3〜5日
  • 定款作成:1〜2日
  • 資本金払込み・登記申請:1日
  • 登記完了:申請から約1週間

最短で設立するポイント

急いで会社を設立したい場合は、以下のポイントを押さえましょう。

  1. 事前に基本事項を決定しておく:商号、事業目的、役員構成などを事前に固めておく
  2. 印鑑は即日発送サービスを利用:ネット注文で翌日届くサービスもあります
  3. 電子定款を活用:専門家に依頼すれば迅速に対応可能
  4. 登記申請はオンラインで:法務局に出向く時間を節約

無料相談のご案内

当事務所では、会社設立に関する無料相談を実施しています。

  • 株式会社と合同会社、どちらが自分に合っているか分からない
  • 複数人で起業するが、出資比率をどう決めればよいか悩んでいる
  • 定款の内容を専門家にチェックしてほしい
  • 設立後の法務顧問も含めて相談したい

このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。弁護士が設立段階から関与することで、将来のトラブルリスクを最小限に抑えた会社づくりをサポートいたします。

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弁護士に会社設立を相談するメリット

会社設立の手続き自体は、司法書士や税理士、あるいはご自身でも行うことができます。では、弁護士に依頼するメリットは何でしょうか。

法務リスクの事前チェック

弁護士は、設立段階から将来起こりうる法的リスクを予測し、対策を講じることができます。

  • 商号が他社の商標権を侵害していないかの確認
  • 事業目的の記載が許認可取得に適切かどうか
  • 役員構成・責任体制のリスク分析

定款の戦略的設計

弁護士は、定款を単なる「手続き書類」ではなく、会社のガバナンス設計書として捉えます。

  • 株式譲渡制限の適切な設計
  • 取締役会・監査役設置の要否判断
  • 相対的記載事項の戦略的活用
  • 種類株式の導入検討(将来の資金調達を見据えて)

株主間契約の作成サポート

複数人で会社を設立する場合、株主間契約の作成をおすすめします。

  • 株式の譲渡に関するルール
  • 経営方針が対立した場合の解決方法
  • 退職時の株式買取条件
  • デッドロック条項(意思決定の膠着状態への対処)

これらは定款には記載しにくい事項ですが、将来のトラブル防止には極めて重要です。

設立後の顧問契約への移行

弁護士が設立に関与していれば、会社の基本設計を熟知した状態で顧問契約へスムーズに移行できます。

  • 契約書のリーガルチェック
  • 労務問題への対応
  • 取引先とのトラブル対応
  • 株主総会・取締役会の運営サポート

設立費用の詳細については、『会社設立の費用と資本金』をご覧ください。


まとめ

この記事では、会社設立の流れと手続きについて解説しました。

会社設立の6ステップ

  1. 基本事項の決定
  2. 印鑑の作成
  3. 定款の作成
  4. 定款の認証(株式会社のみ)
  5. 資本金の払込み
  6. 登記申請

株式会社と合同会社の選び方

  • 社会的信用・資金調達を重視するなら株式会社
  • 設立費用・意思決定のスピードを重視するなら合同会社

弁護士に相談するメリット

  • 法務リスクの事前チェック
  • 定款の戦略的設計
  • 株主間契約の作成サポート
  • 設立後の顧問契約への移行

会社設立は、事業の第一歩です。「登記して終わり」ではなく、将来を見据えた法務設計を行うことで、安定した会社経営の基盤を築くことができます。

会社設立全般については、『会社設立の法律相談』をご覧ください。


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監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

竹内 省吾

経歴
慶應義塾大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2011)
弁護士登録(2012)
第一東京弁護士会・こども法委員会 委員(2020まで)
三田法曹会 会員
日本交通法学会 会員
東京都子供の権利擁護調査員(2020まで)
静岡県弁護士会 会員(2020から2023まで)
第一東京弁護士会 会員(2023)

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

成田 翼

経歴
明治大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2012)
弁護士登録(2013)
神奈川県弁護士会 所属
刑事弁護委員会 委員
三田法曹会 会員

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