会社設立の費用と資本金|設立費用の内訳と資本金の決め方

  • 2026/6/11

「会社設立にはいくらかかるのか」「資本金はどのくらい用意すべきか」——起業を検討している経営者の方から最もよく寄せられる質問です。会社設立には法定費用(登録免許税や定款認証手数料など)に加え、専門家への依頼費用も発生します。また、資本金は「1円からでも設立可能」とはいえ、実務上は取引先や金融機関からの信用、消費税の課税関係などを考慮した金額設定が重要です。本記事では、株式会社・合同会社それぞれの設立費用の内訳と、資本金の決め方について、弁護士の視点から解説します。

株式会社の設立費用の内訳

株式会社を設立する際には、以下の法定費用が必要です。

法定費用一覧

項目 金額 備考
登録免許税 15万円〜 資本金の0.7%(最低15万円)
定款認証手数料

1.5〜5万円

資本金額により変動
収入印紙代 4万円 紙の定款の場合(電子定款なら不要)
定款謄本手数料 約2,000円 1ページあたり250円
その他 数千円〜数万円 印鑑作成費、登記簿謄本取得費など

各費用の詳細

登録免許税は、法務局に会社の登記を申請する際に納付する税金です。株式会社の場合、資本金の0.7%(最低15万円)と定められています。例えば、資本金1,000万円で設立する場合は、1,000万円×0.7%=7万円ですが、最低額の15万円が適用されます。資本金が約2,143万円を超えると、15万円以上になります。

定款認証手数料は、公証役場で定款の認証を受ける際に必要な費用です。2024年12月の改正により、資本金額に応じて以下のように設定されています。

資本金額 定款認証手数料
100万円未満 1万5,000円または3万円
100万円以上300万円未満 4万円
300万円以上 5万円

収入印紙代は、紙で作成した定款に貼付する印紙税です。金額は一律4万円です。ただし、電子定款(定款をPDFで作成し電子署名を付与する方法)を利用すれば、この4万円は不要になります。弁護士法人エースでは電子定款に対応しており、この費用を削減できます。

定款謄本手数料は、定款の写しを取得するための費用です。1ページあたり250円で、通常10〜15ページ程度の定款であれば約2,000〜4,000円です。

株式会社の法定設立費用合計

ケース 合計費用
紙の定款で設立 約25万円〜27万円
電子定款で設立 21万円〜23万円

→ 設立手続きの具体的な流れについては『会社設立の流れと手続き|株式会社・合同会社の違いと選び方』をご覧ください。

合同会社の設立費用の内訳

合同会社は株式会社と比較して、設立費用を大幅に抑えることができます。

法定費用一覧

項目 金額 備考
登録免許税 6万円〜 資本金の0.7%(最低6万円)
定款認証 不要 合同会社は定款認証が不要
収入印紙代 4万円 紙の定款の場合(電子定款なら不要)
その他 数千円〜数万円 印鑑作成費、登記簿謄本取得費など

合同会社の最大のメリットは、定款の公証人認証が不要である点です。これにより、定款認証手数料(3〜5万円)が丸ごと不要になります。また、登録免許税の最低額も6万円と、株式会社の15万円に比べて9万円安くなっています。

合同会社の設立費用合計

ケース 合計費用
紙の定款で設立 約11〜12万円
電子定款で設立 約7〜8万円

株式会社と合同会社の費用比較

項目 株式会社 合同会社 差額
登録免許税 15万円〜 6万円〜 9万円
定款認証手数料 3〜5万円 不要 3〜5万円
収入印紙代 4万円 or 0円 4万円 or 0円 0円
合計(電子定款) 約21〜23万円 約7〜8万円 約14〜15万円

合同会社は株式会社と比較して、設立費用を約14〜15万円節約できます。ただし、会社形態の選択は費用だけで決めるものではありません。対外的な信用力、資金調達の予定、将来の事業展開などを総合的に判断する必要があります。

専門家に依頼した場合の費用

会社設立を自分で行うことは可能ですが、多くの経営者は専門家に依頼します。依頼先によって費用や受けられるサービスが異なりますので、比較検討が重要です。

依頼先別の費用比較

依頼先 報酬目安 対応範囲 特徴
司法書士 5〜15万円 登記申請、定款作成 登記の専門家。手続き代行が中心
税理士 0〜5万円 定款作成サポート 顧問契約前提で無料〜格安の場合が多い
行政書士 10万円〜15万円 定款作成、許認可申請 登記申請は不可(司法書士と連携が必要)
弁護士 10〜30万円 定款設計、株主間契約、法務リスク予防 法務リスクまで見据えたトータルサポート

各専門家の役割と選び方

司法書士は、登記手続きの専門家です。会社設立登記の代理申請が認められており、定款作成から登記完了までをスムーズに進めてもらえます。「とにかく早く設立したい」「手続きだけ任せたい」という場合に適しています。

税理士は、税務の専門家です。会社設立自体は本来の業務ではありませんが、顧問契約を前提に、設立サポートを無料または格安で行う事務所が多くあります。設立後の決算・申告を依頼する予定がある場合は、設立時から税理士に相談するメリットがあります。ただし、登記申請の代理はできないため、司法書士との連携が必要です。

行政書士は、許認可申請の専門家です。定款作成のサポートはできますが、登記申請の代理は認められていないため、登記手続きは司法書士に依頼する必要があります。飲食業、建設業、運送業など、許認可が必要な業種で開業する場合は、設立と許認可申請をまとめて依頼できます。

弁護士は、法律全般の専門家です。設立手続きだけでなく、設立後に起こりうる法務リスク(株主間紛争、取締役の責任問題、取引先とのトラブルなど)を見据えた定款設計や株主間契約の作成が可能です。費用は他の専門家より高くなりますが、「設立費用」ではなく「将来のリスク予防への投資」と考えれば、十分な費用対効果があります。

会計ソフト会社の設立サービス

近年は、freee、マネーフォワード、弥生などの会計ソフト会社が、会社設立サービスを提供しています。基本的な設立手続きを自分で行う場合のサポートツールとして、無料または低価格で利用できます。

ただし、これらのサービスは定型的な会社設立を想定しており、株主構成の設計や株主間契約の作成、複雑な定款条項の検討などには対応していません。「とにかく安く設立したい」「シンプルな一人会社」という場合には有効ですが、共同経営や将来の事業拡大を見据えている場合は、専門家への相談をお勧めします。

→ 定款の作成方法と記載すべき事項については『定款の作成と記載事項|会社の憲法を正しく作るポイント』をご覧ください。

資本金の決め方

資本金とは、会社設立時に出資者(株主)が会社に払い込んだ金額の合計です。会社法上、株式会社・合同会社ともに資本金1円から設立可能ですが、実務上はさまざまな観点から適切な金額を検討する必要があります。

資本金1円でも設立可能だが、現実的ではない理由

法律上は1円でも会社を設立できます。しかし、以下の理由から、実務上は推奨されません。

  1. 対外的な信用力の問題:取引先や金融機関は、資本金を会社の信用力を測る指標の一つとして見ます。資本金1円の会社では、取引条件で不利になったり、法人口座の開設を断られたりするケースがあります。

  2. 事業運営の資金不足:会社を設立しても、事業を運営するには資金が必要です。資本金が極端に少ないと、すぐに債務超過(負債が資産を上回る状態)に陥るリスクがあります。

  3. 増資の手間とコスト:後から資本金を増やす(増資する)には、株主総会の決議や変更登記が必要で、追加の費用と手間がかかります。

資本金の目安

運転資金3〜6ヶ月分が一般的な目安とされています。事業を開始してから売上が安定するまでの期間、事業を継続できるだけの資金を資本金として確保しておくことが重要です。

事業規模 資本金の目安
小規模・一人会社 100万円〜300万円
一般的な中小企業 300万円〜1,000万円
対外的な信用が必要な業種 1,000万円以上

資本金と税務の関係

資本金の金額は、税務上も重要な意味を持ちます。

消費税の免税
資本金1,000万円未満の法人は、原則として設立後2期目までは消費税の免税事業者となります。資本金を1,000万円以上にすると、設立初年度から消費税の課税事業者となるため、特別な理由がない限り、資本金は1,000万円未満に設定することが多いです。

法人住民税の均等割
法人住民税の均等割額は、資本金等の額によって変わります。資本金1,000万円以下であれば年間7万円程度ですが、1,000万円超1億円以下になると18万円程度に増加します。

許認可が必要な業種の注意点

業種によっては、許認可を取得するために一定以上の資本金が必要な場合があります。

業種 必要な資本金
一般建設業 500万円以上(自己資本)
特定建設業 4,000万円以上(自己資本)
有料職業紹介事業 500万円以上
一般労働者派遣事業 2,000万円以上
第一種旅行業 3,000万円以上

該当する業種で起業を予定している場合は、必要な資本金を事前に確認してから設立手続きを進める必要があります。

資本金と融資・取引への影響

資本金は、会社の信用力を示す重要な指標の一つです。資本金の金額が、融資や取引にどのような影響を与えるかを理解しておきましょう。

法人口座の開設

銀行で法人口座を開設する際、資本金は審査の重要な要素となります。近年、マネーロンダリング対策の強化により、法人口座の開設審査は厳しくなっています。資本金が極端に少ない場合(特に1万円以下など)は、口座開設を断られるケースがあります。

一般的に、資本金100万円以上あれば、口座開設の審査で資本金を理由に断られることは少なくなります。

融資審査への影響

日本政策金融公庫や民間金融機関から融資を受ける際、資本金は自己資金として評価されます。創業融資の場合、「自己資金の2〜3倍程度」を融資限度額の目安としている金融機関が多いため、資本金が少ないと借りられる金額も制限されます。

例えば、資本金100万円の場合、創業融資で借りられるのは200〜300万円程度が目安となります。500万円の融資を希望するなら、資本金(自己資金)は200万円程度は用意しておきたいところです。

取引先からの評価

取引先が新規取引の可否を判断する際、会社の資本金をチェックすることがあります。特に、大企業との取引や公共工事の入札参加などでは、資本金が一定額以上であることが条件となる場合があります。

また、取引信用調査会社(帝国データバンク、東京商工リサーチなど)の企業情報にも資本金は記載されます。資本金が極端に少ないと、取引先から「経営基盤が脆弱」と判断されるリスクがあります。

弁護士に依頼するメリット

会社設立を弁護士に依頼するメリットは、単なる手続き代行ではなく、設立後の法務リスクまで見据えたサポートを受けられる点にあります。

司法書士・税理士との違い

観点 司法書士 税理士 弁護士
登記申請 × △(司法書士と連携)
定款作成
株主間契約 × ×
法務リスクの助言 × ×
税務アドバイス × △(通知税理士の場合○)
紛争対応 × ×

弁護士だからできること

1. 定款の法務設計
定款は「会社の憲法」ですが、会社法で定められた事項をそのまま記載するだけでは不十分です。株式の譲渡制限、取締役の任期、株主総会の決議要件など、将来のトラブルを防ぐための条項を検討し、適切に設計する必要があります。

→ 定款に記載すべき事項については『定款の作成と記載事項|会社の憲法を正しく作るポイント』をご覧ください。

2. 株主間契約の作成
共同経営や複数の出資者がいる場合、株主間契約を締結しておくことで、将来の紛争リスクを大幅に軽減できます。株式の先買権、退任時の株式買取条件、デッドロック(意思決定の膠着)時の解決方法など、定款には書けない柔軟な取り決めが可能です。

→ 株主間契約の具体的な条項については『会社設立時の株主・役員構成|共同経営・親族経営のリスク対策』をご覧ください。

3. 設立後の法務サポート
会社設立は、事業の始まりにすぎません。設立後には、取引先との契約、従業員の雇用、許認可の取得など、さまざまな法務課題が発生します。設立時から弁護士と関係を構築しておくことで、これらの課題にスムーズに対応できます。

弁護士法人エースの強み

1. 全弁護士が通知税理士
弁護士法人エースでは、所属弁護士が全員「通知税理士」(弁護士が税理士業務を行うための届出を行った者)として登録しています。法律面と税務面の両方からアドバイスが可能なため、「税理士に聞いたら弁護士に聞いてと言われた」といったたらい回しがありません。

2. 経営者視点でのアドバイス
代表弁護士は複数法人の代表を務めており、弁護士でありながら経営者としての実体験を持っています。「法的には正しいが、経営的には得策ではない」といった判断が必要な場面でも、実務的なアドバイスが可能です。

3. 士業連携によるワンストップ対応
グループ内に社労士法人を保有しており、設立後の社会保険・労働保険の届出、就業規則の作成、労務トラブルの対応まで、一括でサポートできます。

4. 設立後の顧問契約でトータルサポート
会社設立をきっかけに顧問契約を締結いただくことで、設立後の契約書チェック、労務問題、取引先とのトラブルなどにも迅速に対応できます。問題が大きくなる前に相談できる「切り札」として、顧問弁護士を活用いただけます。

まとめ

会社設立の費用と資本金について、要点を整理します。

設立費用のポイント
– 株式会社:法定費用は約21〜27万円(電子定款で約4万円節約可能)
– 合同会社:法定費用は約7〜12万円(株式会社より約14〜15万円安い)
– 専門家への依頼費用:司法書士5〜15万円、弁護士10〜30万円が目安

資本金のポイント
– 運転資金3〜6ヶ月分が目安
– 資本金100万円以上で銀行口座開設・融資がスムーズに
– 資本金1,000万円未満で消費税の免税メリットあり
– 許認可が必要な業種は必要資本金を事前確認

専門家選びのポイント
– 手続きだけなら司法書士
– 税務も含めて相談したいなら税理士
– 法務リスクまで見据えるなら弁護士

会社設立は、単に会社を作る手続きではなく、会社の将来を左右する重要な意思決定です。費用を抑えることも大切ですが、「費用」ではなく「将来のリスク予防への投資」という視点で、必要なところには適切に費用をかけることをお勧めします。

会社設立の全体像については『会社設立の法律相談|弁護士に依頼するメリットと手続きの流れ』で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

弁護士法人エースでは、会社設立に関するご相談を初回無料でお受けしています。「資本金をいくらにすべきか」「専門家に依頼すべきか自分でやるべきか」など、どんなことでもお気軽にご相談ください。経営者のパートナーとして、最適な判断をサポートいたします。

お問い合わせ
電話相談受付:0120-419-155(年中無休 8:00〜22:00)

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

竹内 省吾

経歴
慶應義塾大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2011)
弁護士登録(2012)
第一東京弁護士会・こども法委員会 委員(2020まで)
三田法曹会 会員
日本交通法学会 会員
東京都子供の権利擁護調査員(2020まで)
静岡県弁護士会 会員(2020から2023まで)
第一東京弁護士会 会員(2023)

監修者プロフィール

成田 翼

弁護士法人エース 代表弁護士

成田 翼

経歴
明治大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2012)
弁護士登録(2013)
神奈川県弁護士会 所属
刑事弁護委員会 委員
三田法曹会 会員

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