依頼者▶︎ Kさん 20代男性 飲食店 調理スタッフ

争点:固定残業代制度の有効性、開店前の仕込み時間の労働時間性、始業時刻

ご相談の経緯
Kさんの給与には「固定残業代」という項目があり、会社からは「これがある以上、いくら残業しても追加の残業代は出ない」と説明されていました。実際には開店前の仕込みから閉店後の片付けまで長時間働いており、納得がいかないものの、「契約でそう決まっているなら仕方ないのか」と諦めかけた状態でのご相談でした。

当事務所の対応
まず、給与に含まれる「固定残業代」が、実際の残業時間と無関係に毎月同じ額で支払われており、何時間分の残業に対応するものなのかを会社が明確に説明できていない点に着目しました。固定残業代が有効と認められるには、通常の賃金部分と割増賃金部分が判別できること、その手当が残業の対価として支払われていることが必要ですが、本件はこれらの要件を満たしていないと判断しました。さらに、開店前の仕込みの時間についても、会社の指示のもとで店舗に拘束されて行う以上は労働時間にあたると主張し、始業時刻を実態に合わせて引き直したうえで、未払い額を一から再計算しました。

結果
会社側は固定残業代の有効性を主張して争いましたが、当事務所は判例の考え方に沿って一つひとつ反論し、訴訟手続のなかで約500万円の解決金で和解が成立しました。

解決のポイント
「固定残業代があるから残業代は出ない」という会社の説明を、そのまま受け入れる必要はありません。その手当が法律上有効な固定残業代といえるかは、支払い方の実態を一つずつ検証して初めて分かります。Kさんにも、見通しどおりの解決にご納得いただけました。