会社設立後の届出・手続き|税務署・年金事務所への届出一覧
会社設立の登記が完了しても、事業を開始するまでにはまだ多くの届出が必要です。税務署、年金事務所、労働基準監督署など、届出先は複数にわたり、それぞれ提出期限も異なります。届出を怠ると、税制上の優遇が受けられなくなったり、罰則の対象となったりする可能性があります。この記事では、会社設立後に必要な届出・手続きを届出先別に整理し、期限一覧とともに解説します。設立直後の経営者の方は、漏れなく手続きを進めるための参考にしてください。
INDEX
会社設立後に必要な届出の全体像
会社設立後の届出先は、大きく以下の5つに分類されます。
| 届出先 | 主な届出内容 |
|---|---|
| 税務署 | 法人設立届出書、青色申告承認申請書など |
| 都道府県税事務所・市区町村 | 法人設立届出書 |
| 年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険の加入手続き |
| 労働基準監督署 | 労働保険の加入手続き |
| ハローワーク | 雇用保険の加入手続き |
一人社長で従業員を雇用しない場合でも、税務署と年金事務所への届出は必須です。従業員を雇用する場合は、労働基準監督署とハローワークへの届出も加わります。
届出の多くは設立後1〜2ヶ月以内が期限となっているため、登記完了後は速やかに手続きを進める必要があります。詳しい会社設立の流れについては『会社設立の流れと手続き|株式会社・合同会社の違いと選び方』をご覧ください。
税務署への届出
税務署への届出は、法人として税務申告を行うための基礎となる手続きです。主な届出書類は以下の4つです。
法人設立届出書
法人を設立したことを税務署に届け出る書類です。設立の日から2ヶ月以内に、本店所在地を管轄する税務署に提出します。
添付書類
定款の写し
青色申告の承認申請書
青色申告の承認を受けることで、欠損金の繰越控除(10年間)、少額減価償却資産の特例など、多くの税制上の優遇措置を受けられます。
提出期限
– 設立第1期:設立の日から3ヶ月以内、または設立第1期の事業年度終了の日のいずれか早い日まで
この期限を過ぎると、第1期は青色申告ができず、白色申告となります。税制上の優遇を受けられなくなるため、設立直後に必ず提出しましょう。
給与支払事務所等の開設届出書
法人から役員報酬や従業員への給与を支払う場合に提出します。一人社長で従業員がいない場合でも、自分自身への役員報酬を支払う場合は届出が必要です。
提出期限
– 事務所開設の日から1ヶ月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
通常、源泉徴収した所得税は翌月10日までに納付する必要がありますが、この特例の承認を受けると、半年分をまとめて納付できるようになります(1〜6月分は7月10日、7〜12月分は翌年1月20日)。
適用条件
– 給与の支給人員が常時10人未満であること
中小企業の多くはこの条件を満たすため、事務負担軽減のために申請をおすすめします。
都道府県・市区町村への届出
税務署とは別に、地方税(法人住民税・法人事業税)の関係で、都道府県税事務所と市区町村にも届出が必要です。
都道府県税事務所への届出
法人設立届出書を、本店所在地を管轄する都道府県税事務所に提出します。
提出期限
– 都道府県によって異なる(東京都は設立の日から15日以内、神奈川県は2ヶ月以内など)
市区町村への届出
法人設立届出書を、本店所在地の市区町村役場に提出します。
注意点
– 東京23区内に本店がある場合は、都税事務所への届出のみで足り、区役所への届出は不要です。
各自治体で様式や期限が異なるため、所在地の自治体ホームページで確認するか、窓口に問い合わせましょう。
年金事務所への届出(社会保険)
法人は、役員・従業員の人数にかかわらず、健康保険と厚生年金保険への加入が義務付けられています。一人社長でも加入が必要です。
健康保険・厚生年金保険新規適用届
会社として社会保険に加入することを届け出る書類です。
提出期限
– 事実発生から5日以内
添付書類
– 登記事項証明書(登記簿謄本)の原本
– 法人番号指定通知書の写し(お持ちの場合)
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
役員や従業員を社会保険の被保険者として届け出る書類です。新規適用届と同時に提出します。
提出期限
– 事実発生から5日以内
添付書類
– 賃金台帳、出勤簿など報酬額を確認できる書類
健康保険被扶養者(異動)届
社会保険に加入する役員や従業員に扶養家族がいる場合に提出します。
提出期限
– 事実発生から5日以内
社会保険の手続きは期限が短く、届出が遅れると保険証の発行が遅れるなど実務上の支障が生じます。登記完了後、速やかに手続きを進めましょう。
このような社会保険・労務関連の手続きについては『労務問題の対応・解決』もご参照ください。弁護士法人エースでは、グループ内の社労士法人と連携し、労務手続きもワンストップで対応しています。
労働基準監督署・ハローワークへの届出
従業員を雇用する場合は、労働保険(労災保険・雇用保険)への加入手続きが必要です。一人社長で従業員を雇用しない場合は、これらの届出は不要です。
労働基準監督署への届出
労働保険保険関係成立届
従業員を雇用した日から10日以内に、本店所在地を管轄する労働基準監督署に提出します。
労働保険概算保険料申告書
保険関係成立届の提出後、50日以内に概算保険料を申告・納付します。
ハローワークへの届出
雇用保険適用事業所設置届
従業員を雇用した日の翌日から10日以内に、本店所在地を管轄するハローワークに提出します。
雇用保険被保険者資格取得届
従業員を雇用した月の翌月10日までに提出します。
注意点
– 労働基準監督署への届出を先に行い、その後ハローワークへ届出を行う流れとなります。
– 役員は原則として労働保険の対象外ですが、兼務役員(取締役兼営業部長など)は対象となる場合があります。
従業員を雇用した際の労務手続きは複雑なため、社会保険労務士への依頼をおすすめします。弁護士法人エースでは、グループ内に社労士法人を有しており、設立後の労務手続きまで一貫してサポートしています。
このような届出漏れや労務トラブルでお悩みの場合は、早めに専門家へご相談されることをおすすめします。弁護士法人エースでは、経営者の視点に立った実践的なアドバイスを行っています。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
届出の期限一覧
主な届出の期限を一覧表にまとめました。
| 届出先 | 届出書類 | 提出期限 |
|---|---|---|
| 税務署 | 法人設立届出書 | 設立の日から2ヶ月以内 |
| 税務署 | 青色申告の承認申請書 | 設立の日から3ヶ月以内または第1期終了日のいずれか早い日 |
| 税務署 | 給与支払事務所等の開設届出書 | 事務所開設から1ヶ月以内 |
| 税務署 | 源泉所得税の納期の特例の承認申請書 | 随時(届出月の翌月から適用) |
| 都道府県税事務所 | 法人設立届出書 | 15日〜2ヶ月以内(自治体による) |
| 市区町村 | 法人設立届出書 | 自治体による |
| 年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険新規適用届 | 事実発生から5日以内 |
| 年金事務所 | 被保険者資格取得届 | 事実発生から5日以内 |
| 労働基準監督署 | 労働保険保険関係成立届 | 従業員雇用から10日以内 |
| 労働基準監督署 | 労働保険概算保険料申告書 | 保険関係成立から50日以内 |
| ハローワーク | 雇用保険適用事業所設置届 | 従業員雇用の翌日から10日以内 |
| ハローワーク | 雇用保険被保険者資格取得届 | 従業員雇用の翌月10日まで |
特に注意が必要な届出
– 青色申告の承認申請書:期限を過ぎると第1期は青色申告ができず、税制上の優遇を受けられません。
– 社会保険関係の届出:期限が「5日以内」と非常に短いため、登記完了後すぐに手続きを進める必要があります。
専門家への依頼と顧問契約
会社設立後の届出は、それぞれ専門分野が異なる複数の専門家が関わります。
| 専門家 | 主な担当業務 |
|---|---|
| 税理士 | 税務署への届出、法人税申告、経理・記帳代行 |
| 社会保険労務士 | 年金事務所・労基署・ハローワークへの届出、給与計算、就業規則作成 |
| 司法書士 | 登記関連の手続き、役員変更登記など |
| 弁護士 | 契約書レビュー、紛争予防・解決、総合的な法務相談 |
弁護士に相談するメリット
会社設立後の届出自体は税理士や社労士が中心となりますが、設立後の経営においては法的リスクの管理が重要になります。
弁護士に相談・依頼するメリットは以下のとおりです。
1. 経営者視点でのアドバイス
弁護士法人エースの代表弁護士は複数法人の代表を兼任しており、法律論だけでなく経営判断としてのアドバイスが可能です。「法的には問題ないが、経営的にはリスクがある」といった視点も提供できます。
2. 士業連携によるワンストップ対応
弁護士法人エースでは、グループ内に社労士法人を有しており、税理士とも緊密に連携しています。また、所属弁護士は全員が通知税理士登録済みのため、税務面も踏まえた総合的なアドバイスが可能です。法律・労務・税務の相談窓口を一本化できるため、経営者の負担を軽減できます。
3. 設立後のトラブル予防
取引先との契約書レビュー、従業員との労働契約、株主間の取り決めなど、設立後に発生しうる法的リスクに早期から対応することで、トラブルを未然に防げます。設立費用の考え方については『会社設立の費用と資本金|設立費用の内訳と資本金の決め方』もご参照ください。
4. 顧問契約による継続的なサポート
設立時から顧問弁護士をつけておくことで、日常的な法務相談からトラブル発生時の対応まで、一貫したサポートを受けられます。弁護士法人エースでは、LINEでの気軽な相談にも対応しており、「弁護士に相談する」心理的ハードルを下げています。
まとめ
会社設立後の届出・手続きのポイントを整理します。
- 税務署への届出:法人設立届出書(2ヶ月以内)、青色申告承認申請書(3ヶ月以内)、給与支払事務所等の開設届出書(1ヶ月以内)
- 都道府県・市区町村への届出:法人設立届出書(自治体により期限が異なる)
- 年金事務所への届出:社会保険の加入手続き(5日以内)
- 労基署・ハローワークへの届出:従業員雇用時に必要
- 特に重要:青色申告承認申請書は期限厳守、社会保険は5日以内と短期限
届出漏れを防ぐためにも、設立直後から税理士・社労士などの専門家と連携することをおすすめします。
会社設立全般については『会社設立の法律相談』をご覧ください。
弁護士法人エースでは、会社設立後の法務相談を初回無料でお受けしています。
- 複数弁護士・パラリーガルによる迅速対応
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電話相談受付:0120-419-155(年中無休 8:00〜22:00)
監修者プロフィール
弁護士法人エース 代表弁護士
竹内 省吾
- 経歴
-
慶應義塾大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2011)
弁護士登録(2012)
第一東京弁護士会・こども法委員会 委員(2020まで)
三田法曹会 会員
日本交通法学会 会員
東京都子供の権利擁護調査員(2020まで)
静岡県弁護士会 会員(2020から2023まで)
第一東京弁護士会 会員(2023)
監修者プロフィール
弁護士法人エース 代表弁護士
成田 翼
- 経歴
-
明治大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2012)
弁護士登録(2013)
神奈川県弁護士会 所属
刑事弁護委員会 委員
三田法曹会 会員