事業承継・M&Aの弁護士費用と相談先の選び方
事業承継やM&Aの検討を始めた経営者の方にとって、「弁護士費用はどのくらいかかるのか」は大きな関心事のひとつです。M&Aの弁護士費用は案件の規模や依頼内容によって大きく異なり、数十万円から数百万円に及ぶケースもあります。一方で、M&A仲介会社の手数料と比較すると、弁護士に依頼することで結果的にコストを抑えられるケースも少なくありません。
この記事では、事業承継・M&Aの弁護士費用の相場から料金体系の内訳、M&A仲介会社との費用比較、弁護士の選び方まで、中小企業の経営者が知っておくべきポイントを詳しく解説します。
INDEX
事業承継・M&Aの弁護士費用の相場
事業承継やM&Aを弁護士に依頼した場合の費用は、案件の規模・複雑さ・依頼範囲によって大きく異なります。ここでは、依頼内容ごとの一般的な費用相場をご紹介します。
相談料
初回相談料は無料〜1万円程度の事務所が多いです。事業承継・M&Aの相談は内容が複雑になりやすいため、初回30分〜1時間程度の無料相談を設けている事務所を選ぶと、費用を抑えつつ弁護士との相性も確認できます。
着手金
着手金の相場は30万円〜100万円程度です。案件規模が小さい中小企業のM&Aであれば30万円〜50万円程度、規模が大きい案件では100万円以上となることもあります。着手金は依頼時に支払う費用であり、結果にかかわらず返金されないのが一般的です。
デューデリジェンス(DD)費用
法務DD(買収監査)の費用相場は50万円〜200万円程度です。調査範囲(法務・財務・税務・労務など)が広いほど費用は高くなります。DDはM&Aの成否を左右する重要なプロセスであり、費用を惜しんで省略すると、買収後に想定外のリスクが発覚するおそれがあります。
→ DDの種類や進め方については『デューデリジェンス(DD)とは?種類・進め方・チェックポイント』をご覧ください。
契約書作成・レビュー費用
株式譲渡契約書(SPA)や事業譲渡契約書(APA)の作成・レビュー費用は、10万円〜50万円程度が一般的です。表明保証条項(売り手・買い手がそれぞれ一定の事実を「表明」し、その正確性を「保証」するもの)の交渉を含む場合は、これに加えて交渉代理の費用が発生します。
→ M&A契約書の重要条項については『M&A・事業承継の契約書|株式譲渡契約・事業譲渡契約の重要条項』をご覧ください。
成功報酬
成功報酬は取引金額に応じて算出されるケースが多く、一般的には取引金額の1%〜10%程度です。算出方法としてはレーマン方式(後述)が広く採用されています。
費用の総額イメージ
中小企業のM&A(取引金額1億円程度)を弁護士に一括して依頼した場合、費用の総額はおおよそ200万円〜500万円程度が目安になります。ただし、親族内承継のサポート(遺言書作成・株式移転の助言など)であれば、50万円〜150万円程度で対応できるケースもあります。
弁護士費用の内訳と料金体系
弁護士費用の算出方式は事務所によって異なります。日本弁護士連合会のアンケートによると、事業承継案件の報酬算出方式として「着手金・報酬金方式」「時間制(タイムチャージ)」「手数料制」がそれぞれ約25%ずつと、ほぼ均等に分かれています。
着手金・報酬金方式
依頼時に着手金を支払い、案件完了時に成果に応じた報酬金を支払う方式です。成果が出なかった場合でも着手金は返金されないため、弁護士選びは慎重に行う必要があります。
タイムチャージ方式(時間制)
弁護士の稼働時間に応じて費用が発生する方式です。1時間あたり2万円〜5万円程度が相場で、案件が長期化すると費用が膨らむリスクがある反面、稼働内容が明確で透明性が高いのが特長です。
レーマン方式(成功報酬の計算方法)
M&Aの成功報酬を算出する際に広く使われているのがレーマン方式です。取引金額に応じた逓減する料率を適用する計算方法で、以下の料率が一般的です。
| 取引金額 | 料率 |
|---|---|
| 5億円以下の部分 | 5% |
| 5億円超〜10億円以下の部分 | 4% |
| 10億円超〜50億円以下の部分 | 3% |
| 50億円超〜100億円以下の部分 | 2% |
| 100億円超の部分 | 1% |
計算例:取引金額が3億円の場合
3億円 × 5% = 1,500万円が成功報酬の目安になります。
ただし、レーマン方式の基準金額(取引金額・移動総資産・企業価値のいずれを基準にするか)は事務所や仲介会社によって異なります。見積もりの段階で「何を基準にしたレーマン方式か」を確認しておくことが重要です。
M&A仲介会社と弁護士の費用比較
M&Aの専門家には、弁護士のほかにM&A仲介会社(仲介アドバイザー)があります。費用面だけでなく、サービスの性質や立場の違いを理解したうえで、依頼先を選ぶことが大切です。
費用の比較表
| 項目 | 弁護士 | M&A仲介会社 |
|---|---|---|
| 相談料 | 無料〜1万円 | 無料が多い |
| 着手金 | 30万〜100万円 | 50万〜200万円 |
| DD費用 | 50万〜200万円 | 外部委託が多い |
| 成功報酬 | 取引金額の1〜5% | 取引金額の3〜5%(レーマン方式) |
| 中間金 | なし | あり(数百万円) |
| 月額報酬 | なし(顧問契約除く) | あり(リテイナーフィー) |
弁護士と仲介会社の立場の違い
費用以上に重要なのが、両者の立場の違いです。M&A仲介会社は、売り手と買い手の双方から手数料を受け取る仕組みが一般的です。このため、構造的に利益相反のリスクがあることが指摘されています。中小企業庁も2024年8月にM&Aトラブルに関する注意喚起を公表しており、「仲介会社が売り手の利益よりも成約を優先するケース」への警鐘を鳴らしています。
一方、弁護士は依頼者の利益を最優先にする法的義務(善管注意義務・忠実義務)を負っています。売り手側の弁護士は売り手の利益のみを追求し、買い手側の弁護士は買い手の利益のみを追求します。M&Aの交渉や契約締結において、経営者の味方として動ける存在です。
このようなM&A・事業承継の費用面でお悩みの場合は、早めに専門家へご相談されることをおすすめします。弁護士法人エースでは、経営者の視点に立った実践的なアドバイスを行っています。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
事業承継・M&Aに強い弁護士の選び方
事業承継やM&Aを成功させるためには、信頼できる弁護士を選ぶことが重要です。以下のポイントを参考に、自社に合った弁護士を探しましょう。
M&A・事業承継の実績
M&Aは一般的な企業法務とは異なる専門知識が求められます。デューデリジェンス、バリュエーション(企業価値評価)、表明保証条項の交渉など、M&A特有の実務経験が豊富な弁護士を選ぶことが大切です。
士業連携体制(税務・労務)
事業承継では、法務だけでなく税務(自社株評価・事業承継税制)や労務(従業員の引き継ぎ・労務DD)の知識も不可欠です。税理士や社労士と連携できる体制が整っている事務所であれば、複数の専門家に別々に依頼する手間とコストを削減できます。
コミュニケーションの取りやすさ
M&Aはスピードが重要です。候補先からの回答期限や交渉のタイミングを逃すと、案件が白紙に戻ることもあります。レスポンスの早さや相談のしやすさも、弁護士選びの重要な判断基準です。
経営者目線でのアドバイスができるか
法律論だけでなく、「この条件で売却すべきか」「この買収先と相性が良いか」といった経営判断の視点からアドバイスできる弁護士であれば、より安心して事業承継を進められます。
顧問弁護士を活用してM&A・事業承継に備えることも有効な手段です。詳しくは『顧問弁護士とは?役割・費用・選び方を企業法務の専門家が解説』をご覧ください。また、顧問弁護士の費用感については『顧問弁護士の費用相場と料金体系』で詳しく解説しています。
公的支援制度の活用
事業承継・M&Aにかかる費用の負担を軽減するために、国や自治体が提供する公的支援制度を活用する方法もあります。
事業承継・引継ぎ支援センター
中小企業庁が各都道府県に設置する公的機関です。後継者探し、M&Aのマッチング支援、専門家(弁護士・税理士など)の紹介を無料で行っています。まずはここに相談して情報収集するのも有効です。
事業承継・引継ぎ補助金
事業承継やM&Aに伴う費用(専門家への委託費用、設備投資など)の一部を補助する制度です。補助上限額や補助率は年度ごとに変わるため、最新の公募要領を確認する必要があります。
経営承継円滑化法による支援
経営承継円滑化法に基づく認定を受けることで、事業承継税制(非上場株式等の贈与税・相続税の納税猶予制度)の適用や、金融支援(日本政策金融公庫の融資制度など)を受けることが可能です。特例措置の適用期限は2027年12月末までとなっているため、活用を検討している場合は早めに対応しましょう。
→ 税金対策の詳細は『事業承継の税金と自社株評価|事業承継税制の活用ポイント』をご覧ください。
弁護士法人エースのM&A・事業承継サポート
弁護士法人エースでは、中小企業のM&A・事業承継を総合的にサポートしています。
経営者視点でのアドバイス
代表弁護士は複数法人の代表を兼任しており、経営者としての実体験に基づいたアドバイスが可能です。「法的には正しいが、経営的には得策ではない」といった判断を含め、経営者の立場に立ったサポートを行います。
法務・税務・労務のワンストップ対応
所属弁護士は全員が通知税理士登録済みで、事業承継税制や自社株評価にも対応可能です。グループ内に社労士法人を擁しており、労務DDから従業員の引き継ぎまで一貫してサポートします。複数の専門家に別々に依頼する必要がないため、費用面でも効率的です。
複数担当制による迅速対応
複数の弁護士・パラリーガルがチームで対応するため、M&Aに求められるスピード感のある対応が可能です。
LINEでの気軽なコミュニケーション
「事業承継を考え始めたばかりで、まだ正式に相談するほどではない」という段階でも、LINEで担当弁護士と直接やり取りができます。ちょっとした疑問や不安もすぐに解消できる体制を整えています。
まとめ
事業承継・M&Aの弁護士費用について、この記事のポイントを整理します。
- 弁護士費用の相場: 着手金30万〜100万円、DD費用50万〜200万円、成功報酬は取引金額の1〜5%(レーマン方式)
- 料金体系は事務所によって異なる: 着手金・報酬金方式、タイムチャージ方式、レーマン方式が代表的
- M&A仲介会社と弁護士の違い: 仲介会社は利益相反リスクがあるが、弁護士は依頼者の利益を最優先にする法的義務がある
- 弁護士選びのポイント: M&A実績、士業連携体制、レスポンスの早さ、経営者目線のアドバイスを確認
- 公的支援制度の活用: 事業承継・引継ぎ支援センター、補助金、事業承継税制を活用して費用負担を軽減
→ M&A・事業承継全般については『M&A・事業承継の基礎知識|中小企業の後継者問題を解決する方法』をご覧ください。
弁護士法人エースでは、M&A・事業承継に関するご相談を初回無料でお受けしています。
- 複数弁護士・パラリーガルによる迅速対応
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監修者プロフィール
弁護士法人エース 代表弁護士
竹内 省吾
- 経歴
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慶應義塾大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2011)
弁護士登録(2012)
第一東京弁護士会・こども法委員会 委員(2020まで)
三田法曹会 会員
日本交通法学会 会員
東京都子供の権利擁護調査員(2020まで)
静岡県弁護士会 会員(2020から2023まで)
第一東京弁護士会 会員(2023)
監修者プロフィール
弁護士法人エース 代表弁護士
成田 翼
- 経歴
-
明治大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2012)
弁護士登録(2013)
神奈川県弁護士会 所属
刑事弁護委員会 委員
三田法曹会 会員