株主総会の流れと手続き|招集通知から当日の進行まで
「株主総会を開催しなければならないが、具体的にどのような手続きが必要なのかわからない」——このような悩みをお持ちの経営者は少なくありません。株主総会は株式会社の最高意思決定機関であり、招集手続きから当日の進行、終了後の手続きまで、会社法に基づいた適正な運営が求められます。手続きに不備があれば、決議が取り消されるリスクもあります。
この記事では、株主総会の開催に必要な手続きの全体像を、招集の決定から当日の進行、終了後の対応まで、ステップごとにわかりやすく解説します。
株主総会の種類と開催義務
株主総会には「定時株主総会」と「臨時株主総会」の2種類があります。
定時株主総会
毎事業年度の終了後、一定の時期に開催が義務づけられている株主総会です(会社法296条1項)。3月決算の会社であれば、基準日から3か月以内(通常6月末まで)に開催します。
定時株主総会では、主に以下の事項を取り扱います。
- 計算書類(貸借対照表・損益計算書等)の承認
- 剰余金の配当
- 役員の選任・解任(任期満了の場合)
- 役員報酬の決定
臨時株主総会
必要に応じて随時開催できる株主総会です(会社法296条2項)。定款の変更、役員の途中交代、合併・事業譲渡の承認など、緊急性のある重要事項を決議する際に招集します。
開催時期に制限はなく、必要が生じた時点でいつでも開催できます。
株主総会の招集手続き
株主総会を適法に開催するために最も重要なのが、招集手続きです。ここに不備があると、決議取消しの原因になります。
招集の決定
株主総会の招集は、取締役会設置会社では取締役会の決議で、取締役会非設置会社では取締役の決定で行います(会社法298条)。招集にあたっては、以下の事項を決定する必要があります。
- 株主総会の日時および場所
- 株主総会の目的事項(議題)
- 書面投票・電子投票を認めるかどうか
招集通知の発送期限
招集通知の発送期限は、会社の類型によって異なります。
| 会社の類型 | 発送期限 | 通知方法 |
|---|---|---|
| 公開会社 | 2週間前まで | 書面(原則) |
| 非公開会社(書面投票あり) | 2週間前まで | 書面 |
| 非公開会社(書面投票なし・取締役会設置) | 1週間前まで | 書面 |
| 非公開会社(書面投票なし・取締役会非設置) | 1週間前まで(定款で短縮可) | 口頭・電話も可 |
中小企業の多くは「非公開会社・取締役会非設置」に該当するため、定款の定めにより1週間より短い期間での招集通知が可能です。
招集通知の記載事項
招集通知には、以下の事項を記載します。
- 株主総会の日時・場所
- 株主総会の目的事項(議題)
- 書面投票・電子投票を認める場合はその旨
- 取締役会設置会社の場合は会社法施行規則で定める事項
非公開会社で取締役会を設置していない場合は、目的事項の記載を省略できます(ただし、定款に定めがある場合はその限りではありません)。
招集手続きの省略
株主全員の同意がある場合は、招集手続きそのものを省略できます(会社法300条)。株主が少数の中小企業では、この規定を活用して手続きを簡略化するケースが多く見られます。
→ 株主構成の設計については『会社設立時の株主・役員構成』をご覧ください。
株主総会当日の進行手順
当日の進行は、議長(通常は代表取締役)が行います。以下に一般的な進行手順を示します。
ステップ1:開会宣言と定足数の確認
議長が開会を宣言し、出席株主の議決権数を確認して定足数を満たしていることを報告します。定足数は原則として「議決権の過半数を有する株主の出席」です。
ステップ2:報告事項の報告
定時株主総会では、事業報告や計算書類の内容を株主に報告します。監査役設置会社では、監査報告も行います。
ステップ3:議案の上程と審議
議題ごとに議案を上程し、議長が説明を行った上で、株主からの質問を受け付けます。株主には質問権(会社法314条)が認められているため、正当な質問には誠実に回答する必要があります。
ステップ4:採決
質疑応答の後、議案ごとに採決を行います。挙手、拍手、投票など、合理的な方法で行います。可決・否決の結果を議長が宣言します。
ステップ5:閉会宣言
すべての議案の審議・採決が終了したら、議長が閉会を宣言します。
株主総会の手続きや進行に不安がある場合は、早めに専門家へご相談されることをおすすめします。弁護士法人エースでは、経営者の視点に立った実践的なアドバイスを行っています。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
株主総会後の手続き
株主総会が終了した後も、いくつかの重要な手続きがあります。
議事録の作成・保管
株主総会の終了後、遅滞なく議事録を作成しなければなりません(会社法318条1項)。議事録は本店に10年間、支店に5年間(写し)保管する義務があります。
議事録の記載事項は会社法施行規則72条3項で定められており、開催日時・場所、議事の経過と結果、出席した役員の氏名などを記載します。
→ 議事録の具体的な書き方については『株主総会議事録の作成方法』をご覧ください。
登記申請
株主総会で役員の変更や定款変更などを決議した場合は、決議の日から2週間以内に法務局で変更登記を行う必要があります(会社法915条1項)。登記申請には株主総会議事録の添付が必要です。
決議内容の実行
決議された事項を速やかに実行します。例えば、剰余金の配当であれば配当金の支払い、役員報酬の変更であれば給与計算への反映などです。
招集手続きでよくあるミスと対策
中小企業の株主総会で特に注意すべき、よくあるミスを紹介します。
ミス1:招集通知の発送が遅れた
発送期限を守らなかった場合、招集手続きの法令違反として決議取消しの訴えの対象になります。
対策: スケジュール表を作成し、招集通知の発送期限を逆算して管理しましょう。
ミス2:招集通知に目的事項を記載しなかった
取締役会設置会社では、招集通知に目的事項の記載が必要です。記載がない場合、その議題について有効な決議ができません。
対策: 招集通知のひな形を用意し、記載漏れを防ぎましょう。
ミス3:株主総会を開催せずに議事録だけ作成した
実際に株主総会を開催していないにもかかわらず議事録だけ作成した場合、決議不存在として扱われます。私文書偽造罪に問われるリスクもあります。
対策: 書面決議(みなし決議)の制度を活用すれば、適法に手続きを簡略化できます。
→ 決議の要件については『株主総会の決議の種類と要件』をご覧ください。
弁護士に相談するメリット
株主総会の手続きを弁護士に相談することで、以下のメリットがあります。
手続きの適法性を確保
招集通知の作成、議案の設計、議事進行のシナリオ作成など、法的に問題のない株主総会を実現できます。特に会社の類型によって異なる手続き要件を正確に判断するには、専門家の知識が不可欠です。
想定問答の準備とリハーサル
株主から想定される質問への回答を事前に準備し、リハーサルを行うことで、当日の円滑な進行が可能になります。弁護士法人エースでは、経営者視点で実務に即した想定問答の作成をサポートしています。
ワンストップでの対応
弁護士法人エースのグループ内には社労士法人があり、弁護士は全員が通知税理士登録済みです。役員変更に伴う社会保険や税務の手続きなど、株主総会に関連する周辺業務もまとめて対応できます。
まとめ
株主総会の手続きは、招集の決定から当日の進行、終了後の議事録作成・登記まで、多くのステップがあります。この記事のポイントを整理します。
- 定時株主総会は毎年開催が義務、臨時株主総会は随時開催可能
- 招集通知の発送期限は会社の類型によって異なる(非公開会社は1週間前まで)
- 株主全員の同意があれば招集手続きの省略が可能
- 当日は定足数の確認→報告→審議→採決→閉会の流れで進行
- 終了後は議事録の作成と必要に応じた登記申請を行う
→ 株主総会全般については『株主総会の基礎知識と運営ガイド』をご覧ください。
弁護士法人エースでは、株主総会の手続きに関するご相談を初回無料でお受けしています。
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監修者プロフィール
弁護士法人エース 代表弁護士
竹内 省吾
- 経歴
-
慶應義塾大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2011)
弁護士登録(2012)
第一東京弁護士会・こども法委員会 委員(2020まで)
三田法曹会 会員
日本交通法学会 会員
東京都子供の権利擁護調査員(2020まで)
静岡県弁護士会 会員(2020から2023まで)
第一東京弁護士会 会員(2023)
監修者プロフィール
弁護士法人エース 代表弁護士
成田 翼
- 経歴
-
明治大学法学部卒業(2009)
慶應義塾大学法科大学院卒業(2012)
弁護士登録(2013)
神奈川県弁護士会 所属
刑事弁護委員会 委員
三田法曹会 会員